KAAT神奈川芸術劇場プロデュース ラビット・ホール のチケット情報

KAAT神奈川芸術劇場プロデュース
ラビット・ホール

イントロダクション

幸せな日常と未来を突然奪われながらも、深い悲しみから一歩踏み出そうとする家族の物語。

KAAT神奈川芸術劇場では、芸術監督に就任した長塚圭史によりシーズン制を導入。2021年8月〜2022年3月までのシーズン一年目は、「冒(ぼう)」というテーマに沿って、“飛び出す、はみ出す、突き進む”さまざまな作品をラインナップ。
シーズンのラストを飾る『ラビット・ホール』は、長塚芸術監督によれば「いかにして死の悲しみ、そして生の喜びと向き合いながら生きていくか」を描いた作品。かけがえのない息子を事故で亡くし、深い苦しみと悲しみの中にある夫婦と、彼らを取り巻く人々の日常がきめ細やかに描かれています。2007年にアメリカのピューリッツァー賞戯曲部門を受賞したデヴィッド・リンゼイ=アベアーによる戯曲で、2010年にはニコール・キッドマンのプロデュース&主演により映画化されました。
今作では、交通事故で息子を失ったベッカ役を小島聖、夫・ハウイー役を田代万里生が演じます。ベッカの妹・イジー役には占部房子、二人の母・ナット役には木野花、加害者であるジェイソン役には新原泰佑と、魅力的なキャストが集結。
人は受け止めがたい現実とどう向き合って生きていくのか。普遍的なテーマを描いた本作に、ぜひご期待ください。

ストーリー

ニューヨーク郊外の閑静な住宅街に暮らすベッカとハウイー夫妻。
彼らは8カ月前、4歳だった一人息子のダニーを交通事故で失いました。ダニーとの思い出を大切にしながら前に進もうとする夫のハウイー。それに対し、妻のベッカは家の中にあるなき息子の面影に心乱されます。そのような時にベッカは、妹イジーから突然の妊娠報告を受け戸惑い、母のナットからは悲しみ方を窘められ、次第に周囲に強く当たっていきます。お互いに感じている痛みは同じはずなのに、夫婦・家族の関係は少しずつ綻び始めていました。
ある日、夫妻の家にダニーを車で轢いたジェイソンから手紙が届きます。会いたいというジェイソンの行動に動揺を隠せないハウイーですが、ベッカは彼に会うことを決意します。

インタビュー

今日や明日の見え方が、自分の生き方が、何か変わるかもしれない。そんな作品です。

幼い息子を失った夫婦とその家族の日常を描く『ラビット・ホール』。
この公演では、2017年の『チック』(翻訳・演出)など数々の話題作を世に送り出してきた小山ゆうなが演出を担当。さらに、リアルな会話で物語が語られることを目指し、映像界で活躍する脚本家・篠﨑絵里子が上演台本を手がけます。苦しみや悲しみの中で、人はどう生きていくのか。現代の日本人に響く言葉で描かれる本作に、誰もが心を揺さぶられるはず。
今回お話を聞いたのは、ハウイー役を演じる田代万里生さん。声楽家としてオペラデビュー後、ミュージカルをはじめ数々の舞台で存在感を発揮する田代さんですが、「『ラビット・ホール』は僕の新たな一面をお見せできる作品になると思う」と、意気込みや役への思いなどを語ってくれました。

田代万里生さん
田代万里生さん(写真:久家靖秀)
──出演が決まった時のお気持ちを教えてください

ストレートプレイなので、嬉しさとドキドキが混在していました。しかも、キャストもスタッフも全員初めましての方々で。KAATのシーズンテーマが「冒」ですが、まさに僕のことだなという感じです。未知の世界に踏み出してみようという気持ちで、映画を観たり、今ある台本を読んだりして、挑戦させていただこうと決意しました。

──田代さんといえばミュージカルの印象が強いですが、今作はリアルな会話劇。どう感じていますか?

ミュージカルの重厚なセリフを掛け合いするのとはまた違って、『ラビット・ホール』は“あうんの呼吸”のような何気ない会話や、日常的なシーンがたくさんある作品です。例えば『エリザベート』のルドルフ役のように、決め文句がバシッバシッとあるのとは違い、本当に自然体の会話をしなきゃいけない。そこはとても新鮮に感じますし、キャストの皆さんがすばらしい方ばかりなので、稽古場で“初めての感覚”をたくさん味わえるのではないかなと思います。しかも、この物語は息子を事故で亡くすという劇的なできごとのあとから始まる、後日談のようなお話。登場人物たちが、深い悲しみを背負った状態から幕が開きます。難しくもありますが、この作品だからこそ見えてくるものがあるはず。

──ハウイー役について、どんな印象を持ちましたか?

ハウイーは30代後半〜40代前半で、とても忍耐強い男性。前を向くためにいろんな努力をしているし、妻のベッカを一生懸命支えながらも、時には強く引っ張ってあげている感じがします。でも、男性と女性ではゴールが同じでもルートが違うということがあるように、夫婦間ですれ違いが起きたり喧嘩になることも…。物語の前半は、ハウイーはあまり感情的にならずベッカのことを考えて行動しているように見えます。逆に後半はベッカのほうが落ちついて、ハウイーが感情的になり、すごく人間らしさが出る部分もあります。今のところのハウイーの印象は、妻を愛している誠実な夫、ですね。

──妻のベッカ役である小島聖さんにお会いした時の印象は?

「妖精」です! そして肩甲骨がとても柔らかいという印象(笑)。人の肩甲骨、わりと見ちゃうかもしれません。ダンサーさんとか、ヨガのインストラクターさんとか、ものすごくキレイに肩甲骨が動いていると、こんなに柔らかかったら肩凝らないだろうなぁと。ちなみに僕は…人並みです(笑)。それはともかく、小島さんは手足がスラリと長くて顔が小さくて、柔らかい雰囲気をまとっていて、あまりにも妖精のようでびっくりしました。そんな方の夫役ということで、幸せ者です!

──これから稽古が始まるにあたり、楽しみにしていることはありますか?

実は、ピアノがない稽古場は初めてなんです。『きらめく星座』(こまつ座)に出演した時は、ストレートプレイですが舞台上にピアノがある設定で、随所に生演奏や歌があった。それでもミュージカルの現場に比べると、稽古が始まる前の静けさがハンパなかったんですよ。ミュージカルなら、歌唱指導の方が誰かのレッスンをしていたり、カウントでダンスの練習をしている人がいたり。そういうことがまったくなく、ベテラン俳優の方々がじっと黙ってスタンバイしているし、演出家の栗山さんも寡黙な方だったので、シン…としていました。果たして今回はどんな感じになるのか楽しみですね。女性のキャストが多いですし、家族のお話なのでまた雰囲気が違うかな? 言わなくてもわかるという関係性の中での揺らぎみたいなものを出せたらなと思います。そして、共演者の皆さんからたくさんのことを吸収させていただきたいですね。

田代万里生さん、小島聖さん

(写真:久家靖秀)

──役づくりはどんなことから始めるのですか?

自分の役と相手の役をどれだけ愛せるか。そこを大切にしています。僕自身は子どもがいないので推測にはなるけれど、息子を亡くしたハウイーの気持ちを想像することはできます。小島さんはお子さんがいらっしゃるので、台本を読んで「他人事じゃない」とおっしゃっていました。僕も他人事には思えない。そして、ハウイーのベッカに対する誠実さや、彼なりに自暴自棄にならず前に進もうとするところは、とても共感できます。そういったところから、役をつかんで深めていければ。

──この作品の魅力や、観る方に伝えたいことは何ですか?

ご結婚されている方や年配の方、人生経験を積んでいる方は特にこの作品を楽しめると思います。もちろん、若い人にもぜひ観てほしいです。今はまだ「ん?」と腑に落ちない部分があっても、それはそれで、若い時期に体感するって大事なこと。学生の時に先生や親が言っていたことがわからなくても、大人になってから「こういうことだったのか!」と身にしみてわかることってありますよね。今作は、誰もが主人公になれるし、共感できる部分がある作品です。人生いろいろなことがあって、問題をクリアできないことのほうが多いかもしれない。解決できなくても、今日も明日も生きていかなければならない。自分自身が渦中にいると見えなかったことも、演劇を通して気づくことができ、今日や明日が違った見え方になるかもしれません。そして、命は一度失われたら二度と戻って来ないけれど記憶はずっと消えないということ、その重みをあらためて感じられると思います。

──“命”にまつわる忘れられない経験はありますか?

作中で、ハウイーは亡くなった息子のビデオを観ていて、ベッカはまだ心の準備ができず観られないというシーンがあるのですが、それに似たことを経験しました。数年前に母方の祖母が亡くなる前、会えるのはこれが最後かもという日。病室で、祖母が僕の母の顔を見て、「いいな、私も口紅したい」と。実際には塗れなかったのですが、塗る振りをして「ほら、きれいだよ」と声をかけました。その時、僕は写真を撮っておきたいと思ったんです。はじめは母と伯父は渋っていましたが、最後にはふたりとも納得して祖母と写真を撮った。伯父は今その写真を見られるけど、母はいまだに見ることができないと言います。きっといつかは見られると思うけれど。そんな経験があったから、ハウイーとベッカのことがよくわかる。ベッカは逃げているわけではないし、現実を受け止められないわけでもない。人によって向き合い方が違うんですよね。

──最後に、公演を楽しみにされているお客様にメッセージをお願いします

劇場にいらしていただいたら、そこが『ラビット・ホール』です。決して異次元のお話ではなく、『ラビット・ホール』を通過して覗けるのは、自分のすぐ隣にある世界。自分にも起こりうるできごと。観終わって現実世界に戻ったら、作品と実生活を照らし合わせて、今日や明日の自分や生き方を、もしくは何気ない小さなことでも変えるきっかけになったら…。そんな舞台を作り上げたいと思いますので、ぜひ、楽しみにしていてください!

キャスト&スタッフ

キャスト

【出演】

小島聖、田代万里生
占部房子、新原泰佑、木野花

【作】
デヴィッド・リンゼイ=アベアー

【上演台本】
篠﨑絵里子

【演出】
小山ゆうな

公演情報

公演名
KAAT神奈川芸術劇場プロデュース
『ラビット・ホール』
対象公演日程

2022年2月20日(日)~ 2022年3月2日(水)

※横スクロールで公演日程が確認できます。

2022 2/20
2/24
(木)
2/26
3/1
(火)
3/2
(水)
昼公演 14:00 14:00
夜公演 18:30 18:00 18:30
会場
KAAT神奈川芸術劇場<大スタジオ>
上演期間
2022年2月18日(金)~3月6日(日)
料金
定価 一般:6,800円/平日夜割 6,000円 →一般 6,300円/平日夜割 5,500円
備考
  • 本公演のチケット購入代金のお支払いにはビューカードのみご利用いただけます。
  • 1申し込みにつき4枚まで
  • 表示されている公演日・席種のみの受付となります。
  • 1度お申込みいただいた公演の追加申込みはできませんのであらかじめご了承ください。
  • この優待販売は、必ずしも良席を保証するものではございません。
  • 未就学児の入場はご遠慮ください。
  • 本公演のチケットは主催者の同意のない有償譲渡が禁止されています。
  • 公演中止など、主催者がやむを得ないと判断する場合以外の払い戻しはいたしません。
  • 本公演のチケット購入時に登録の氏名・緊急連絡先は、万が一来場者から感染者が発生した場合など必要に応じて保健所等の公的機関へ提供させていただく場合がございます。予めご了承くださいませ。
  • 感染症の拡大状況により、ご案内している公演情報に変更が生じる場合がございます。予めご了承くださいますようお願い申し上げます。
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公演終了

公式HP
https://www.kaat.jp/d/rabbithole2022

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