Story
原作となるのは、スペインの作家セルバンテスの小説『ドン・キホーテ』。現実と妄想の区別がつかなくなり荒唐無稽な行動を繰り広げる男の顛末を描いた冒険奇譚です。
自らを遍歴の騎士(ドン・キホーテ)と思い込み、世直しの旅に出る初老の郷士。彼のお供をするサンチョ・パンサや空想上のドルシネア姫などの原作に登場するキャラクター、そしてKERAによって新たに描かれる登場人物たちによる群像劇が紡がれます。
公演では、生演奏を交えて、出演者たちが縦横無尽に舞台を駆け巡ります。
聖書の次に世界中で読まれている名作『ドン・キホーテ』がKERA流で新たに生まれ変わる!
劇作家、演出家、映画監督、音楽家として多方面で才能を発揮する、ケラリーノ・サンドロヴィッチ(KERA)が、『ドクター・ホフマンのサナトリウム ~カフカ第4の長編~』以来、約6年ぶりに KAAT神奈川芸術劇場で新作を上演。
題材に選んだのは、世界中で聖書の次に読まれているといわれる『ドン・キホーテ』。
大倉孝二、咲妃みゆ他、個性と実力を兼ね備えた俳優陣を迎えて、名作が『最後のドン・キホーテ THE LAST REMAKE of Don Quixote』として新たに生まれ変わります。
夢と妄想と正義感に取りつかれた人間の狂気を、KERA流の不条理さを交えて、どうリメイクされるのでしょうか?
【原作「ドン・キホーテ」とは?】
スペインの作家ミゲル・デ・セルバンテスの長編小説。騎士道物語を読みすぎて現実と妄想の区別がつかなくなった郷士が、自身を遍歴の騎士と思い込み、古い鎧を身につけドン・キホーテと名乗り、やせ馬にロシナンテと名付けて冒険の旅に出る物語。近所の娘を空想上のドルシネア姫に見立てて慕い、お供のサンチョ・パンサを連れ、行く先々で奇想天外な荒唐無稽の冒険を繰り広げる。有名なエピソードに、風車を巨人と思い込み突撃する話などがある。世界中で聖書の次に読まれていると言われており、多くの作家に影響を与えた作品。
原作となるのは、スペインの作家セルバンテスの小説『ドン・キホーテ』。現実と妄想の区別がつかなくなり荒唐無稽な行動を繰り広げる男の顛末を描いた冒険奇譚です。
自らを遍歴の騎士(ドン・キホーテ)と思い込み、世直しの旅に出る初老の郷士。彼のお供をするサンチョ・パンサや空想上のドルシネア姫などの原作に登場するキャラクター、そしてKERAによって新たに描かれる登場人物たちによる群像劇が紡がれます。
公演では、生演奏を交えて、出演者たちが縦横無尽に舞台を駆け巡ります。
―― 今回の公演が発表になった際のコメントで、出演の打診があったときに〝指折りの消極的人間″大倉さんが珍しく「やらせてください」と即答したとありましたが、どんな心境だったのでしょうか?
大倉 どうしてだったんでしょうね。ぜひとも自分がドン・キホーテを演じたいとか、そういうつもりは全くないんですが(笑)、もしKERAさんが他の方とドン・キホーテを作って、それが面白かったら嫌だと思ったし、断ったら後で後悔するだろうと直感的に思って受けさせていただきました。
咲妃 私はKERAさんの作品に出演したいと願い続けていたので、大喜びでお引き受けしました。オファーをいただいたときは自分がどんな役を演じるのかすらわかってなかったのですが、そうだとしてもKERAさんの舞台に携われる喜びで舞い上がりました。今もずっとワクワクしています。もし私のテンションの高さが鬱陶しくなったら言ってくださいね、大倉さん。
大倉 いやいや、こんなふうに楽しみにしている方と一緒にできるのはありがたいです。僕はビックリするくらいローテンションで稽古に臨むと思いますが、咲妃さんはそのままでぜひいてください。
咲妃 そうさせていただきます(笑)、ありがとうございます。
―― ドン・キホーテは、騎士道物語を読みすぎて現実と妄想の区別がつかなくなり、自分を騎士だと思い込んでいる初老の郷士。なぜKERAさんはこの役を大倉さんに演じてもらいたいと思ったのでしょうか。
大倉 本当は年齢が上の方にやってもらおうかとも考えたらしいんですが、ドン・キホーテは荒唐無稽だし、破天荒だから、落ち着いた雰囲気だとちょっと違うなと思ったそうです。それで、じゃあ大倉かなと。僕も不条理や、風変わりな人を演じるのは嫌いではないので、演じるのは大変そうだけど、やってみようかなと思いました。
咲妃 今日が大倉さんとは初対面で、一緒に取材を受けさせていただく中で、落ち着いて見えるけれど、内には情熱を秘めていらっしゃるなと感じました。それはドン・キホーテを演じる上で必要不可欠なもの。また、周囲を搔き乱すけれど、同時にあらゆることに目を向けているのがドン・キホーテだと個人的には思います。周囲に目を配れる人でないと演じられない役です。どちらの意味でも大倉さんしかいないなと私は思っているので、大倉さんが作り上げるドン・キホーテ像が楽しみで仕方ないです。
大倉 いやいや、KERAさんが作り上げるものを演じるだけです。僕にはドン・キホーテ像は全く何もないです。
―― まだ台本はできあがっていないと聞きましたが、KERAさんからはどのような作品になるのかお二人は教えてもらっているのでしょうか。話せる範囲で教えていただけますか?
咲妃 今日、KERAさんにお会いして、面白い作品になるという確信が強まりました。KERAさんならではの、現実世界とドン・キホーテが思い描く世界との二重構造をお楽しみいただけるようです。出演者の一人として台本がますます待ち遠しくなりました。
大倉 聞けば聞くほど、一筋縄では行かなさそうな感じですね。なかなか大変そうです。10人いたら10人皆さんが大好き、最高というものには、きっとならないと思いますが、それは我々(劇団「ナイロン100℃」)の持ち味ではあるので。僕はいいですけれど、咲妃さんに迷惑をかけるのではないかと心配です……(笑)。
咲妃 いえいえ!まったくそんなことはないです。大倉さん以外の我々出演者は複数の役を演じさせていただくことになりそうだと伺っているので、さまざまな角度からドン・キホーテに関われるのが、すごく楽しみです。大役を担われる大倉さんをお支えできるように頑張ります。
―― 今回の公演はKAAT神奈川芸術劇場プロデュースの作品です。咲妃さんは「憧れの場所」だそうですが、KAATの作品を演じる上で大倉さんからアドバイスはありますか。
大倉 初めてKAATに立たせてもらったのは、今回と同じくKERAさんが作・演出された『ドクター・ホフマンのサナトリウム 〜カフカ第4の長編〜』のとき。共演した麻実れいさんから舞台裏で「大倉くんは体が弱そうね」っていわれた思い出深い場所なんですよ。「そうですね」って答えたら、「嬉しいわ、私だけじゃないのね」って。僕の身体の弱さがやっと人の役に立ったなと。またそういう思い出が今回もできるといいなとは思ってます。
咲妃 なんだか素敵なやりとりですね。
大倉 そうですか?笑い話ですよ(笑)。
咲妃 麻実さんは大尊敬する先輩なので、すべてが素敵に感じてしまって…。KERAさんの舞台に出演できて、しかも劇場はKAATという有り難い機会に恵まれて、舞い上がっています!神奈川に通うのも私にとっては非日常で、それも楽しみです。余裕があったら、みんなで中華街に行って親睦を深めたいです!そういう場にはKERAさんも参加してくださるんですか?
大倉 声をかければ参加してくれると思いますが、参加するより…早く書いてもらえたら嬉しい。なので、KERAさんの前では、真っ直ぐ帰るふりをして、食べに行きましょう(笑)。
咲妃 行きましょう!楽しみがさらに増えました!
―― KAAT以外にも、富山、大阪、福岡のツアーになりますが、特に楽しみにしていることはありますか?
大倉 富山ですね。とにかく何食べても美味しいんですよ。
咲妃 そうなんですね、富山に行くのは初めてです。日本海が育てたお魚はおいしいんでしょうね。私は宮崎県の出身なので、九州の地で公演できることに特別な思いがこみ上げています。出身県ではないですが、九州で公演できること自体が貴重なので。
大倉 故郷に錦ですね。北九州もよく行きますが、いいですよね。あと大阪のSkyシアターMBSは新しくて、素敵な劇場ですよ。
咲妃 台本が届くのも楽しみだし、お稽古もそう。みんなで中華街も楽しみだし、富山、大阪、福岡で公演できるのも楽しみ。もう今回は楽しみしかないです。
大倉 楽しみしかない咲妃さんがいて心強いですよ、僕は。
(取材・文/幸山梨奈)
(撮影/中村麻子)
■大倉孝二
ヘアメイク 山本絵里子/スタイリスト JOE(JOE TOKYO)
《衣裳クレジット》
・シャツ BUENAVISTA ¥25,300(税込)
RPBC株式会社
〒106-0032 港区六本木7−3−16-2F TEL:03-6822-9233
・パンツ ESTNATION ¥41,000(税込)
ESTNATION PRESSROOM
〒150-0001 渋谷区神宮前2−22−16新光第二ビル5階 TEL:0120-503-971
・シューズ パントフォラ・ドーロ ¥27,500(税込)
アドナストミュージアム
〒150-0032 東京都渋谷区鶯谷町4−1-B1 TEL:03-5428-2458
■咲妃みゆ
ヘアメイク 本名和美(RHYTHM)/スタイリスト 國本幸江
【出演】
大倉孝二
咲妃みゆ
清水葉月
安井順平
【演奏】
鈴木光介
細井徳太郎
【作・演出】
ケラリーノ・サンドロヴィッチ