キャスト スタッフ
CAST/STAFF

【出演】

信:三浦宏規/高野 洸(Wキャスト)
嬴政・漂:小関裕太/牧島 輝(Wキャスト)
河了貂:川島海荷/華 優希(Wキャスト)
楊端和:梅澤美波(乃木坂46)/美弥るりか(Wキャスト)
壁:有澤樟太郎/梶 裕貴※東京公演のみ(Wキャスト)
成蟜:鈴木大河(IMPACTors/ジャニーズJr.)※東京公演のみ/神里優希(Wキャスト)
左慈:早乙女友貴※東京・大阪・福岡公演のみ
バジオウ:元木聖也
紫夏:朴 璐美/石川由依
昌文君:小西遼生
王騎:山口祐一郎

【原作】「キングダム」原 泰久
(集英社「週刊ヤングジャンプ」連載)

【脚本】藤沢文翁

【演出】山田和也

【音楽】KOHTA YAMAMOTO

インタビュー
INTERVIEW

  • 三浦宏規×高野洸×小関裕×
    牧島輝×鈴木大河×神里優希
  • 川島海荷×華 優希
  • 山口祐一郎
紀元前の中国・激動の春秋戦国時代を舞台にした超人気コミック「キングダム」の初の舞台化が決定! 天下の大将軍を夢見る戦災孤児・信役に三浦宏規さん、高野洸さん。のちに始皇帝となる若き王・嬴政と漂役に小関裕太さん、牧島輝さん。嬴政の腹違いの弟で玉座を狙う成蟜(せいきょう)役に鈴木大河さん(IMPACTors/ジャニーズJr.)、神里優希さん。キャストの6名がメディアからの取材に応じ、役にかける熱い思いを明かしてくれました。
三浦宏規さん、高野洸さん、小関裕太さん、牧島輝さん、鈴木大河さん、神里優希さん
(左から)鈴木大河さん(IMPACTors/ジャニーズJr.)、小関裕太さん、三浦宏規さん、
高野 洸さん、牧島 輝さん、神里優希さん

信は感情移入できるキャラクター!みんなで中華統一を目指したい!

── 「キングダム」は、累計発行部数が9200万部(2022年9月時点)を超える大人気の歴史コミックで、今までにアニメ化や映画化もされてきた作品です。まず、作品への印象や魅力を教えてください。

信役・三浦さん まず壮大な世界観に惹かれました。物語を読んでいくと、僕自身、信が辛いときは辛くなるし、戦っているときは心から勝ちたいと思う……とても感情移入しました。読む人も物語のキャラクターとともに中華統一を目指してハラハラドキドキすることができる、そんな魅力的な作品です。

信役・高野さん 映画はすごく泥臭くて熱い、しのぎを削るような……何時代? 春秋戦国時代というんですね、その時代の迫力がすごいと思いました。原作もものすごいスピードで読んでしまって。そこで驚いたのが、この作品では戦闘における「作戦」や「戦略」がものすごく大切なのだ、ということ。そんな面白さがあると、次の戦いも楽しみで……そんなところも人気の理由だなと思いました。

嬴政/漂役・小関さん 僕も(高野)洸くんと同じようにすごいスピードで原作を読みました。最初は役作りのために読み始めましたが、気がつけばすっかりファンに(笑)。この作品には、人情や愛などたくさんの要素が入っていますが、僕は「知略」の面白さに惹かれます。今回の舞台には登場しませんが、「李牧(りぼく)」をはじめとしたさまざまな軍師が登場し、それぞれが策を立てて戦う姿には「そんな方法もあるんだ!」という驚きも多くて。それはお芝居にも通じるところがあるといいますか……今回の舞台は同じ役を演じる役者さんがいる「Wキャスト」なので、そこにも驚きや発見があるのではないかと、勝手にリンクして考えています(笑)。映画化、アニメ化もされている作品ですが、まだまだ「余白」がある作品だと思うので、舞台ではぜひまた新しい景色を見出したいです。お芝居の表現でも、身体表現の部分でも、自分なりに「知略の面白さ」を生み出したいです。

嬴政/漂役・牧島さん 僕はもう何度も全巻通して読んでいるほどこの作品が大好きです。「キングダム」が面白いのは、まず、マンガの冒頭で信が大将軍になっている姿が先に描かれ、信が途中で死ぬことは絶対ない……そう分かっているのに、ドキドキワクワクして読むことができるところです。信がいろいろな仲間たちと出会って、どんどん強くなっていく姿を見ていくのは本当に面白い。出てくるキャラクターもみんな個性的なので、その一人一人に思い入れが強くなります。2300年前ということで、現代の戦い方と大きく違うところも面白いですし、敵対する国にもその国なりの正義があったりと、とにかく歴史を勉強したくなります。それから、僕は「効果音」が好きですね! 激しい戦闘描写などで描かれる効果音……。みんながこう、一斉に跪くシーンの効果音なんかも……。(「効果音がね(笑)!」と横から小関さんがフォロー)はい、好きです(笑)。効果音だけでも絵が想像できてしまう……マンガって絵だけが全てではないですから、そんなところも魅力的な作品だと思っています。

成蟜役・鈴木さん 僕はこのお話をいただく前からマンガも映画も拝見していました。史実にも基づいた一人一人のキャラクターが本当に生き生きとしていて、実際に言ったわけではない言葉まで、本当にその人物が言っていたかのように感じられるのが面白いですね。マンガの中のセリフが、ちゃんと史実にも繋がって見える……そう思わせる「構成力」が素晴らしいです。「壁(へき)」という登場人物にしても、史実では「ここで死んだんじゃないか」という説はありつつ、でも読み方によっては死んでいないかも……ということで「キングダム」では生き延びるなど、マンガならではの展開が楽しめる点も面白いと思います。

成蟜役・神里さん 僕も、この話をいただく前に映画は拝見していましたが、今回改めて原作を読んで、この作品は、男の友情だったり、戦いだったり、常にワクワクする展開が用意されていて、本当に魅力的だと感じました。舞台では成蟜に決まったということにびっくりして……。「これは、とても嫌なやつを演じることになるぞ」って(笑)。まあ僕にできるのかなーという不安もありつつ、でも楽しみも大きくて、精一杯頑張りたいなという気持ちでいっぱいです。成蟜は「男の友情」とはまた別の場所にいる存在なので、そこをしっかりとやっていきたいと思っています。

内に大きな「人間力」を秘めた信を演じるのは「ハードルが高い」

三浦宏規さん、高野 洸さん
──それぞれが演じるキャラクターの魅力を教えてください。

信役・三浦さん 信を動かす原動力として、もちろん「将軍になりたい!」という気持ちは大きいですが、やはりずっと一緒に育ってきた親友である漂を目の前で亡くしたショックは大きいだろうと思っています。漂はふたりが下僕だった頃から一緒に戦ってきた、かけがえのない存在ですから、そんな親友を亡くした信には、計り知れないほどの痛みがあるはず。漂という存在があるから、信はその後に待ち構える大きな困難を、大変でも乗り越えていくのだと思うんですね。そういう意味で、舞台ではその最初のシーンがどう描枯れるのかが気になっています(笑)。きっとそこが信を演じる上で大切になってくると思いますので……。信のキャラクターについては、無鉄砲で真っ直ぐで、まずは自分の思った通りに突っ込んでいく……そんな部分は自分ともリンクしているかもしれません。性格は違いますが、僕も小さな頃から舞台が好きで、好きなあまり何も考えずに東京にひとりで来てしまい……周りにもたくさん迷惑をかけたので、そこは共通点かと。精一杯演じたいと思っています。

信役・高野さん 信は、思ったらすぐに行動してしまう素直さがあって、ひたすら真っ直ぐ突き進む人物、というイメージが強いですが、内には大きな「人間力」を秘めている気がします。たとえ敵でも、罪のない人は殺したくないとか、そんな人としての自然な感情や正義感を大事にしていて、そこがカッコいいんですよね。味方の士気を上げるのもうまく、ついていきたくなるような存在感です。演じる上では「ハードルが高いな!」とは思いますが、とにかく信はすごく……もう、カッコいいですね(笑)!

嬴政/漂役・小関さん 政と漂はどちらも読者にとって「ミステリアス」な人物だと思います。漂は(すぐに死んでしまうので)主に回想という形で出てくるのですが、それはつまりは信の目から見た漂ばかりである、ということ。読者も、漂に感情移入するというよりは「信にとっての漂」を見ていくことになりますよね。漂には「余白」がすごくたくさん残されているので、すごく作りがいのあるキャラクターではないかと思っています。一方、政のミステリアスさは、「国を統一する」という、すごく現実味のない信念を持っていること。史実を知っている我々からしたら、「ああ、こういう信念を持った強い青年が、中国を統一していく話なんだ」とゴールが見えていますが、当の本人はどんな精神状態なんだろう? というところが、僕にとってはすごくミステリアスです。「中華統一」へ突き進む、政の原動力は一体なんなのか。そこにしっかり現実味を持たせるため、これから読解を進めるのが楽しみです。「この役はわかる、想像しきれる」と思っていた役も、演じ始めると全く違う感情がわきおこる……ということもあるので、実際に演じたときに見える景色が楽しみです。

嬴政/漂役・牧島さん 今、原作マンガは66巻まで出ていますが、漂が出てくるのは、最初の1、2巻、本当に少しの間です。それでも漂が多くの人から信頼されるキャラクターであることには、みんなが納得してしまいます。「確かにこいつ、現実にいたら好きになっちゃうな」と僕も思います。そんな魅力的な人物なので、大事にしていきたいですね。一方、政は王様という立場。「キングダム」って国と国との争いの話で、中にはとんでもない王様も出てきます。そんな中で僕なら、やっぱり政のいる国に行きたいですね(笑)。政はあまり感情を表に出すことはないけれど、常に民のことを考えて戦っている人物。王様という立場も、持ち上げられているわけではなく、「中華統一」という大きな夢を持ってその場所にいる。男としても憧れる、カッコいいキャラクターです。

成蟜役・鈴木さん 成蟜は、原作を読んでいて一番最初に嫌いになるキャラクターだと思います(笑)。僕も本当に最初は嫌いで、「成蟜さえいなければ、漂が死ぬこともなかったのに!」なんて思ったりもしたのですが、ただ裏を返せば彼がいなければ、この「キングダム」の物語が始まることもなかったんですよね。そう考えれば大切なキャラクターだと思います。成蟜は家臣から信頼されてもいないのに、玉座の上にあぐらをかいて……。のちの成蟜にはまた別の物語がありますが、今作では「いかに不快な感じを出せるか」、見ている方に「なんだあいつ!」って言ってもらえるような表現をしていきたいです。あ、最初に「嫌い」と言いましたが、個人的にはめちゃめちゃ好きです(笑)。

成蟜役・神里さん 成蟜はとにかく性格が悪いんです(笑)。理不尽な、悪いやつなんですね。でも、彼にはどこか寂しい部分や悔しい思いもあるんだろうな、とも思っていて。王族の血を引いているのに、王になれない……というのは、周囲にはわからなくても、本人にはものすごく悔しいことなのかもしれないですから。ただ、舞台上では「しっかり嫌われるように」頑張ります! ふふ、違うか(笑)。僕も昔はとても生意気で、親にもすごく迷惑かけたやんちゃ坊主だったので……いよいよそれを生かす時がきたなと思っています(笑)。

劇場に染み込んだ汗や涙、かつて響いた拍手まで力にしていきたい

小関裕太さん、牧島 輝さん
──この公演が行われる帝国劇場は、2025年に一時閉館し、建て替えとなることが発表されました。演劇、ミュージカルの聖地とも言われる帝国劇場での思い出や思い入れがあれば聞かせてください。

信役・三浦さん 「帝国劇場を建て替える」というニュースが発表されたときの反響の大きさに、改めて「本当に愛されていた劇場なんだな」と実感しました。この公演が上演される2023年には、帝国劇場は113年目を迎えるんですね。今の建物があるうちに「キングダム」という新しい作品を上演できることは大変大きな責任で、頑張らなきゃなという思いでいっぱいです。僕は、少し前の舞台「千と千尋の神隠し」でも帝国劇場に立っていたのですが、その際はW主演を務める橋本環奈さんと上白石萌音さんが座長をされていました。当時すでに「キングダム」のお話をいただいていましたから、ふたりの背中を見ながら「次は自分がこの立場になるんだ」と思いつつ、勉強させてもらっていました。帝国劇場を背負ったふたりの背中は、もちろん小さな背中なのですが、僕にはとても大きく頼もしく見えて。そんな姿を間近で見られたことは、とても貴重な経験でした。偉大な先輩たちが立ってきた帝国劇場の舞台に立ち、自分たちもその一員に加われるということは、本当に身が引き締まる思いです。「キングダム」もみんなで一緒に頑張っていきたいです。

信役・高野さん 100年以上の歴史があると聞いてびっくりしていますが、本当に歴史のある憧れの場所です。初めて立たせてもらう帝国劇場で主演を務めさせていただけるなんて恐縮ですが、しっかり頑張りたいと思っています。歴史のある劇場で、たくさんの役者さんたちが立ってきた舞台ですが、せっかく出るのですから、僕も僕にしかできない、新しい風を吹かせる……くらいの気持ちでやっていきたいです。少し前から、「戦友」である三浦くんと頑張ってきたこともありますし、仲間達とやる舞台を成功させたいですね。

嬴政/漂役・小関さん 帝国劇場は、自分にとってとても重みのある劇場です。グランドミュージカルを初め、いろいろな作品が歴史とともに刻まれていて……。僕を含め、演劇を志す人にとっては、一度は立ちたい憧れの劇場。この「キングダム」という作品は、多くの人が期待を寄せる作品ですし、政も漂もゴールのない役だと思うので、すごく大変な日々が待っているんだろうと思います。なので、もしできるなら劇場に染みこんだ汗や涙、笑い、あとはかつて鳴り響いたであろう拍手の反響音……のようなものが、公演をしている間に自分の力になってくれたら嬉しいですね。僕は、舞台「千と千尋の神隠し」を帝国劇場で拝見しましたが、そのときの客席に響いた拍手の余韻がとにかく印象的で。今回もマンガ原作の作品を帝劇でやるということで、作品は違いますが、ベクトルは似ているところもあると思います。この公演が終わった時に、お客さんがどんな感想を持って帰るのか、そんなことを想像してワクワクしています。

嬴政/漂役・牧島さん 帝国劇場は来年113年目ですか! すごいですねぇ。(共演者から「覚えたことすぐ言う(笑)」と突っ込まれ) ふふ、すぐ言って覚えようとしています(笑)。113年目って、言葉にすると簡単だけど、実際の歴史を考えると大変なことですよね。僕どころか母親も生まれる前、さらに言えばおばあちゃんも生まれるもっと前。ひいおばあちゃんはちょっと僕、会ったことないのですが……(一同笑い)。僕自身、役者を志す前から知っていた、本当に長い歴史のある帝国劇場です。ですから、僕たちもこれから113年たった時、誰かに思い出してもらえるような、そんな帝国劇場の歴史の1ページになるような作品を作れたらと思っています。

成蟜役・鈴木さん 僕は先輩であるHey! Say! JUMPさんの舞台「ジャニーズワールド」という作品で(注釈:2012年初演。故・ジャニー喜多川氏による演出)で、帝国劇場に立ったことがあります。舞台では、当時“Jr.マンション”と呼ばれた、4階建てくらいの舞台装置の中で踊らせていただいたのですがその頃はまだ中学生だったこともあり、今ひとつ帝国劇場に立つという重みやありがたさを実感することができていなくて。それが今回、「キングダム」というこんな大きな作品にキャストとして出られると聞いて、今までとは違う感覚で、その重みを感じました。もちろんまだまだですが、113年目という歴史の重みを感じながら、この作品を一生懸命作っていきたいと思っています。

組み合わせで違いが色濃く出る「Wキャスト」を楽しんでください!

鈴木大河さん、神里優希さん
──今回は、さまざまな組み合わせがある「Wキャスト」であることも話題です。「Wキャスト」の面白さや期待することを教えてください。

信役・三浦さん そうですね、まず今回はオリジナル作品で、ミュージカルというスタイルではないんですね。ミュージカルはどうしても、ナンバー(曲)があって、振り付けがあって……という決まりごとがあるのですが、今回はそれがないので、(キャストの組み合わせによって)一層変わる部分が大きいんじゃないかと思っています。それが面白いところであり、醍醐味ですよね。信と政を僕と小関さんで演じるのと、僕と松島さんで演じるのとでは大きく違う。お二人のお芝居が違うわけですから、それによって僕の演技プランも変わってくるはずですから。ですから、早く稽古してどんな感じになるんだろうっていうのを楽しみたいですね。組み合わせによる「違い」は、普通のミュージカルより色濃く出る気がするので、いろいろな組み合わせを見て、楽しんでいただければと思います。

信役・高野さん 僕、「Wキャスト」は初めてなので、きっと学ぶところが多いと思います。組み合わせが何通りもあるのは新鮮だし、楽しいんじゃないかなと。そこでしか生まれないものがきっとあると思いますし……。違った思いを乗せた剣を交えたり、違う戦いの炎があがったり……それを間近で見られることは、大きな経験になると思うので……色々教えてもらいたいですね!(と、三浦さんを見る)

信役・三浦さん ええー!?(笑)

信役・高野さん ははは! ダブルキャストの達人かなと(笑)。

信役・三浦さん ……一緒に頑張りましょう!

三浦宏規さん、高野洸さん、小関裕太さん、牧島輝さん、鈴木大河さん、神里優希さん

取材・文/小川聖子

紀元前の中国を舞台にした大人気コミック「キングダム」が初の舞台化! 主人公である信と行動を共にする山民族の末裔「河了貂(かりょうてん)」を演じる川島海荷さん、華 優希さんにお話を聞きました。
華 優希さん、川島海荷さん
華 優希さん(左)、川島海荷さん(右)

河了貂との共通点は「小柄なところ」これからもっと見つけていきたいです

──まずは、舞台「キングダム」への意気込みをお願いします。

川島さん たくさんの方に愛されている作品なので、お話が決まったときにはプレッシャーや緊張を感じたのですが、キャストの情報解禁があってから、知人や友人に「海荷は河了貂に似てるよ!」と言ってもらえて……少し安心することができました(笑)。舞台では、しっかりと自信を持って演じていきたいと思っています。

華さん 私はもともと「キングダム」の原作が本当に大好きで、舞台化するというお話を聞いたときには、「すごいものが始まるんだ!」とワクワクしました。ただその中で私が河了貂を演じる、自分が今まで読んでいた世界に入れる……というところはなかなか信じられなくて、今も不思議な気持ちです。たくさんの方に愛されている作品なので、原作の良さをしっかりと守りつつ、舞台でしか出せない新たな魅力が生まれるよう、演じていきたいと思っています。

──「河了貂」というキャラクターの魅力や、ご自身との共通点があれば教えてください。

川島さん 河了貂はちょっと幼くてボーイッシュ、可愛いらしい印象ですが、性格はさっぱりしていてて、主人公である信との関係もフラット。そこから絆が生まれてくると思うので、そのあたりが魅力かと思います。共通点と言われると悩みますが、体が小さい感じ(笑)?(隣で「私も!」とうなずく華さん) まだまだ「ここが似ているので、河了貂はばっちり演じられます!」とまでは言えないのですが、これからどんどん河了貂に近づいて、最後は「戦友」くらいにまでなれるよう、深めていければと思っています。

華さん 河了貂は幼くて可愛いらしい雰囲気がある一方、貧しい村で、時には悪さをしながらも自分なりの正義を守って生き抜いてきた強さも備えた女の子だと思っています。そのふたつの要素が河了貂の魅力だと思いますので、それがうまく出せるよう、これからの稽古で探っていけたらと思っています。私と河了貂との共通点についてはまだ難しくて……(笑)。これから頑張って、見つけていきたいです。

華 優希さん、川島海荷さん
──「河了貂」といえば、鳥を模した独特なコスチュームにも注目が集まりそうですが……。

川島さん まだ衣装をつけての撮影はしていないのですが、衣装にはもう、インパクトしかないと思います(笑)。ただ、迫力ある帝国劇場の舞台だと、そんなインパクトのある扮装をしていても、意外と小さく見えてしまう可能性もありますよね。ですから、しっかりと自分を見せられるような動きを工夫しつつ、体力もつけていきたいと思っています。

華さん 原作に準じた衣装だとしたら、あれを着るとどんな感じなのだろうというのはすごく気になるところです(笑)。視界も狭まりそうですよね。ですから、とにかく怪我をしないように気をつけながら、貂の動きをなんとか再現できるよう、工夫していきたいと思っています。

──最後に見に来られるお客様に一言お願いいたします。

川島さん 河了貂は、戦いばかりで男っぽい「キングダム」の世界の中で、唯一の明るいポイント、面白いポイントになれそうなキャラクターだと思いますので、そんな味わいのある「立ち位置」を狙って頑張っていきたいと思います(笑)。

華さん みなさん、どうぞ公演を楽しみにしていてください。

取材・文/小川聖子

秦国六大将軍の1人にして“怪鳥”の異名を持つ王騎。主人公・信にとって重要な存在となる大将軍・王騎を演じる山口祐一郎さんに、作品への意気込みを聞きました。
山口祐一郎さん
山口祐一郎さん

三浦宏規さんと再び共演できるのを楽しみにしています

──「キングダム」という作品への印象や、王騎役に決まったと聞いたときのお気持ちを聞かせてください。

山口さん 私は原作のマンガも、アニメも映画も全部見せていただきました。原作マンガは、数年前には累計発行部数4000万部と聞いたのですが、今はもう9000万部を突破したそうですね。人口1億2000万人ほどのこの島国で9000万部って……どういうことでしょう(笑)。もうこの国で社会人として暮らすには、知らないと許されない作品のようになっているんでしょうかね。自分の配役に関しては……そうですね、実は「キングダム」で主演を務める三浦宏規さんとは、「ヘアスプレー」という作品でも共演しているんです。僕は長年舞台をやってきて、もうおおかたの役者さんは知っている、わかっていると思っていたのですが、歌、踊り、お芝居をこれだけ伸び伸びとできる方を初めて見ました。宏規さんの歌やお芝居にはまったく「型」がないんです。そればかりか、彼のまわりには重力がない。その姿、お芝居、立ち居振る舞いを見て、「これは“お父さん”も頑張らなきゃいけないな」と思っています。ですから、今回また共演できるというお話には、大きな驚きと喜びを感じています。

──「キングダム」の映画版では、王騎を大沢たかおさんが演じていました。山口さんはどんなアプローチで王騎を演じようと思われていますか。

山口さん マンガも映画も、そのとき関わる人のいろいろな思いが結実してできるものなので、それぞれが演じられている姿は「ああ、素敵だな」と思って見ています。ひとりひとりが持っている魅力が、原泰久さんの作品で引き出され、「この人はこんな存在でもあるんだな」と新たに気付かされることもあります。自分が演じる王騎は……そうですね、若い頃は、作品が持つテーマや、演じるキャラクターの役割というもの考え、それに忠実に演じなければと思っていました。でもこれ、言い方は難しいですが、どこかそのことばかりに縛られていた部分もあった気がしていて。というのも、こちらが意図したものに対して、お客さんからいただく感想やリアクションは全然違うものだったりするんですよ。だから、もちろん狙いやテーマは大切なのですが、受け取る側のひとりひとりが感じとるものはそれぞれに違うということは、ずっと念頭に置きたいと思います。僕が演じる王騎も、振り返ったときに「ああ、こういうキャラクターだったんだな」「その時の自分はこうだあったんだな」と、少し気がつけることがあればいいかなと思っています。ですから、とにかく真っ白になって、求められる役を全力で演じていきたいです。

山口祐一郎さん
──この公演が行われる帝国劇場は、2025年に一時閉館し、建て替えとなることが発表されました。演劇、ミュージカルの聖地とも言われる帝国劇場での思い出や思い入れがあればお願いします。

山口さん かつて、舞台活動は私の夢だったのですが、その夢が現実になって、それから私はずっと舞台の上にいます。舞台の上で与えられた役を生きることが、私の人生になっているんですね。帝国劇場が建て替えられると聞くと、「じゃあ、こけら落としにはどんな作品がリストアップされるんだろう」「そこに立つキャストは誰なんだろう」というのは、この歳になっても気になります。お年寄りも、「孫が生まれるよ」と聞くと、「じゃあ孫が生まれるまでは頑張る」なんて言ったりしますよね。そんな感じで、僕もリニューアルするまでは頑張りましょう(笑)。先ほどもお話しましたが、「ヘアスプレー」で共演している三浦宏規さんとお話していると、宏規さんはよく未来の話をするんです。一方、僕はいつも過去の話をする。そんな中で、「リニューアルした帝国劇場で、また会えたらいいね」というのは、ようやく同じように語れるお話になっています。

──山口さんが初めて帝国劇場に立たれたときの思い出はありますか。

山口さん そうですね、これを話し始めたら、ここにいる記者さんたちみんなと3泊4日ほどかけて、どこかの山荘にでも出かけなければ(笑)。どうでしょうね……「キングダム」を書かれた原泰久さんは、連載をスタートするとき「10年で終わる」と思っていたのだそうです。「大体何冊くらいで終わる」ということも考えていたけれど、気がつけばどんどん延びている、と。その理由をご自身で考えたとき、半分はわかるけれど、半分はわからないと。なぜ自分のアイディアがあんな風に展開して、手がこんな風に動いたのか。全部説明しろと言われてもわからない、そんなことをおっしゃっていました。私が初めて帝国劇場に立ったときのことを思い出しても、言葉で表現できるような感想はありません。それから四半世紀が過ぎて……今は今回出会った三浦宏規さんをはじめ、舞台芸術を先頭切って引っ張っていく、「大将軍」のような俳優さんたちが何人もいますね。出会ったとき、彼らは少年でした。そのとき僕は「おじさん」でした。そんな少年たちが今、「大将軍」になって……ということは? ときどき、スタッフに言われるんですよ。「ということは祐一郎さん、どういうことかわかりますよね?」って(笑)。みなさんもわかりますね? 月に2回、無料で銭湯に行けたり、健康診断も無料だったり、いつの間にか世間に優しくされるようになりました。そういうことです(笑)。

取材・文/小川聖子

公演情報
EVENT

会場
【東京】帝国劇場
公演日程
2023年2月5日(日)~2月27日(月)
料金
全席指定 定価 S席 15,000円/A席 10,000円

※ご観劇前に帝国劇場の感染症対策についての記載を必ずご確認ください。