作・演出・細川 徹、企画・製作・モチロンプロデュースが放つ注目の新作舞台『二階堂朝陽は助けに来る』で、タイトルロールの二階堂朝陽を演じる千葉雄大さん、清水健太役の戸塚純貴さん、佐久間 亮役の牧島 輝さんにインタビュー。ほぼ初共演となる彼らの互いの印象から、本読みを経て見えてきた細川ワールドの緻密な仕掛け、そして広い劇場を巻き込む“イマーシブ(没入型)”な見どころまで語ってもらいました。
(左から)戸塚純貴さん、千葉雄大さん、牧島 輝さん
ほぼ初共演の三人!お互いの印象は?
――しっかりと組む舞台としてはほぼ初共演のお三方かと思います。「主人公っぽい名前」だという二階堂朝陽にちなんで、まずはお互いの「お名前」にも触れながら、それぞれの印象をおうかいできますか。
千葉(戸塚さんに)普段は、戸塚、純貴、どっちで呼ばれることが多いですか?
戸塚「純貴」が多いかもしれないですね。
千葉「とっつー」とかは?
戸塚あー(笑)。それはたまに、本当にたまに呼ばれます。
千葉僕は結構、苗字(千葉)で呼ばれることが多いんですよ。
戸塚確かに「ばーちー」とかって言いやすいですよね(笑)。僕は下の名前で呼ばれがちです。「まっきー」(牧島)はどう?
牧島ふふふ、僕は確かに「まっきー」か「まきちゃん」が多いですね。でも下の名前の「輝(ひかる)」も呼びやすいって言われます。
千葉確かに呼びやすいね。
戸塚この「輝」という字で「ひかる」って、すごく素敵ですよね。本名ですか?
牧島「輝」は本名ですね。
千葉俺も名前(雄大)だけ本名です。
牧島そうなんだ!
戸塚僕は苗字も名前もどっちも本名なんですけど……えー、芸名に変えればよかったな(笑)。あ、質問なんでしたっけ。お互いの印象でしたよね。
――(笑)。ぜひお互いの印象をお願いします。
千葉やっぱり、おふたりとも名前の通りキラキラしてらっしゃるなと。
戸塚輝くんは舞台のイメージが強くて。ずっと舞台に立たれている方なので、歌も踊りももちろんそうですし、役者としてのスキルをすべて兼ね備えている方という印象でした。名前も「輝(ひかる)」だから、会う前はもっとこう、ギラッ!!としてるのかなと思ったら(笑)、とても親しみやすくて。こちらと同じ目線でお話ししてくれるので一緒にいやすいですし、安心できるなと感じています。
――千葉さんから見た戸塚さん、そして戸塚さんから見た千葉さんはいかがですか?
戸塚「ばーちー」さんは(笑)、僕にとって芸能界でずっと見ている「お兄さん」という感じ。だから今回、「やっとご一緒できた!」という喜びが大きいです。ただ、周りの共通の友達や近しい人たちに聞くと、いい意味で「何をしでかすかわからない人だよ」ということで…。
千葉ん、 どゆこと!?(笑)
戸塚だからこそ、これからどんなお芝居になるのか、楽しみで仕方ないです。
牧島僕もおふたりに対しては、テレビの画面越しに見ていた人たちという感覚があって。でも、僕もおふたりと共通の俳優仲間や、この間まで出演していた舞台のプロデューサーさんから「今度一緒なんだね。ふたりとも本当に面白い人だよ」というお話を聞いていて。本読みはまだ一度だけですが、今日のインタビューでも、おふたりが隣でちょこちょこぼそっと面白いことを言ってくれるので、これから始まる稽古がすごく楽しいものになりそうだなと思っています。
――ぼそっと、なんですね(笑)。
牧島いや、この先の稽古場ではきっと大きい声で言ってくれると思います。わからないですけど(笑)。
目指すのは、「笑えるけど、なぜか泣ける」舞台
――作・演出の細川 徹さんの作品といえば「理屈抜きで笑えるナンセンス・コメディ」として演劇ファンから愛されています。戸塚さんは今回、念願の細川作品への出演だそうですね。また、牧島さんは2023年の『ドクター皆川~手術成功5秒前~』に続く2回目の細川組参戦となります。経験者の牧島さんから、初参戦の先輩おふたりへ何かアドバイスはありますか?
牧島そうですね…力を抜いて、頑張ってください(笑)。
一同あははは!
牧島いやいや、僕からアドバイスできることなんて何もないです(笑)。ただ、前回の『ドクター皆川~手術成功5秒前~』のときは、最初の段階で台本がすべてできあがっていたわけではなかった記憶です。「ここまで書いたからちょっと読んでみる?」とか、「今日こんな出来事があったから、その話を反映してここまで直したよ」という感じで進んでいって。いい意味で現場がすごく緩やかだったのが、当時とても緊張していた僕にとってはやりやすかったんです。
戸塚日々、台本が更新されていく感じだったんですね。
牧島そのときはそうでした。演出家の方も含めて、「みんなで一緒に作っている感」があって楽しかったのを覚えています。細川さんは、役者が稽古場で提案したアイデアを面白がって取り入れてくれる方なので、今回もそうなるんじゃないかな。細川さんは「笑えるけど、なぜか泣ける」という作品を目指していらっしゃるのかなと思っているので、しっかりとそれに応えるのは難しいかもしれませんが。
――今回はコメディに定評のあるキャストが勢揃いしています。戸塚さんはヨーロッパ企画の公演(『たぶんこれ銀河鉄道の夜』)にも出演されていますし、千葉さんも昨年は『ワタシタチハモノガタリ』で見事なコメディセンスを発揮されていました。そんなみなさんが、これから作品に入っていく上で課題にしたいと思っていることはありますか?
戸塚「コメディをやりますよ」とお客さんに提示した状態でスタートする舞台って、実はとても怖いですよね。スタートの時点で、すでにハードルが上がっている状態というか。もちろんその期待には応えたいですが、逆に良い意味で、その期待を裏切っていきたいなとも思っていて。
千葉ものすごく重たいお芝居にして、「え? 笑うところ一つもないじゃん」とかね(笑)。
戸塚そうそう(笑)……というのは冗談ですが、コメディだからと笑いを取ることばかりを意識するより、役柄同士の関係性から自然と見えてくる面白さを大切にしたいと思っています。今回、僕が演じる清水健太は「野心家」という設定ですが、自分で勝手に敵を作ってどんどん孤独になっていく、ある種とても人間臭いキャラクター。もしかしたら、観ているお客様が一番共感できる人物かもしれません。牧島くんが先ほど、「笑えて、なぜか泣けるところを細川さんは目指している」とおっしゃっていましたが、僕の役には家族関係などの深いバックボーンもあるので、その人間ドラマの部分に重きを置いて、集中して作り込みたいなと思っています。
めちゃくちゃに見えても筋が通っているのが細川作品
――一度行われたという本読みの感触はいかがでしたか? 役柄の紹介を見ると、牧島さんは主人公に対して「嫌がらせもする役」とありますが……。
牧島現時点の台本だと、そこまで陰湿な「嫌がらせ」という感じではなく、「ストレートに嫌い」というニュアンスに近いのかなと感じています。でも、先ほどお話ししたように細川さんはひらめきでどんどん変えていく方なので、稽古が始まったら「嫌がらせ」の要素がもっと増えていくかも(笑)。ただ、どんなに突飛でめちゃくちゃなことが起きても、登場人物たちの心情のラインは、細川さんが一本キレイに繋がるように作ってくださるんです。ただ無茶をやっているだけではなく筋が通っているところが、細川さんの台本の素晴らしい魅力。それぞれのキャラクターがどう転がっていくのか、僕自身も本当に楽しみです。
――千葉さんは、ご自身の二階堂朝陽という役をどう捉えていますか?
千葉嫌がらせをされる側、ですよね(笑)。実は本読みのときに牧島さんと席が隣同士だったんですけど、本読みの最中、ずっと足を踏まれていたなと思って。
牧島嘘ついてるじゃないですか!(笑)それは本当の嫌がらせです!
千葉あ、もうここから役作りが始まってたんだなと(笑)。僕が演じる二階堂朝陽は、軸がしっかりとしていて飄々としているキャラクターです。本人はいたって真面目に、一生懸命生きている姿が、客観的に見るとなぜか面白く映る……そういう種類の笑いなのかなと思っています。なので、まずは舞台上で僕自身がとにかく一生懸命に役を生きていきたいと思います。
後半に待ち受ける驚きの仕掛けでイマーシブ(没入型)な体験を!
――台本を読まれたなかで、特に楽しみにしているポイントや、驚いた部分はありますか?
千葉 今いただいている台本の後半に、「これ、舞台上でどうやって表現するんだろう!?」と思うような展開があるんです。それが実際の演出でどうなるのか、今からすごく楽しみですね。
戸塚確かに。後半のあるところから、めちゃくちゃな仕掛けが用意されていますよね。劇場全体を使った、なんなら客席の方まで巻き込んでいくような仕掛けになるのかな、という予感…。
――それは楽しみですね! 皆川猿時さんや大水洋介さん(ラバーガール)といった、細川組の強力な常連メンバーも脇を固めています。その中で、この3人がどう立ち回るのかも演劇ファンにとっては大きな見どころです。
牧島そうですね。「EXシアター六本木」って、ものすごく広いじゃないですか。演劇をやる上では少し難しい劇場なのかなとも思うのですが、今回の作品の構成や仕掛けを考えると、俳優陣とお客さんの距離感がものすごく近くなりそうな気がしていて。広い会場だからこそ、客席と舞台上がひとつになる、強い一体感が生まれそうな予感がしているのですが、おふたりはどうですか?
千葉いやもう本当、それでしかないと思います。
戸塚それでしかないです!
千葉「イマーシブ(没入型)」ですね。まだまだ何が起きるか分からない舞台、そのドキドキ感を体感しに、ぜひ劇場に足をお運びください。
(取材・文/小川聖子)
(撮影/藤本聡太)
《千葉雄大》
ヘアメイク/堤紗也香
スタイリスト/寒河江健(Emina)
《戸塚純貴》
ヘアメイク/大和田一美
スタイリスト/森大海(AGENCE HIRATA)
衣装
-ジャケット ¥83,600
-シャツ ¥27,500
-パンツ ¥55,000
AMWB/エーエムダブルビー
《牧島輝》
ヘアメイク/大和田一美
スタイリスト/中村剛
衣装協力/ANTOK