INTRODUCTIONイントロダクション

人を魅了し、滅ぼす。“聖なる悪の体現者”リチャード三世、降臨!
“シェイクスピア×森新太郎×吉田羊によるPARCO劇場シリーズ”第三弾上演決定!

シェイクスピア×森新太郎×吉田羊によるPARCO劇場シリーズ第3弾。
これまでの『ジュリアス・シーザー』で演じたブルータス、『ハムレットQ1』のハムレットに続いて吉田羊が挑むのは、これまでとは真逆の〝悪の権化〟リチャード三世です。
本作の核となるのは、身体的劣等感を抱えた彼が言葉の魔力で巧みに人々の心を支配していく様子。
森新太郎の緻密な演出と、愛希れいか、中越典子、赤澤遼太郎、篠井英介、渡辺いっけいを始めとする百戦錬磨のキャスト陣が織りなす本作は、単なる歴史劇を超え、現代社会の闇にも通じる人間の孤独と欲望を鮮烈に描き出していきます。

MOVIE動画

STORYストーリー

薔薇戦争に勝利したヨーク家。
長兄エドワード四世が即位し、イングランドは束の間の平安を迎えていた。
しかし、その状況を誰よりも憎む男がいた。それは末弟のグロスター公リチャードである。
生まれながらの醜いわが身を呪い、平和な世に馴染めぬ彼は、自ら「悪党」となることを決意する……。

INTERVIEWインタビュー

リチャードを演じる吉田羊さんに、シェイクスピア劇の魅力、そして森新太郎さん演出の今回の舞台パルコ・プロデュース2026「リチャード三世」の見どころなどをお伺いします
吉田羊さん
吉田羊さん

シェイクスピア劇は私にとって「ご褒美」のような時間

―― 演出の森新太郎さんとのシェイクスピアシリーズ第3弾となります。吉田さんにとって、このシリーズはどのような存在になっていますか?

シェイクスピアの作品というのは、役者を捉えて離さない不思議な魅力があるんです。膨大なセリフと戦いながらも、その戯曲を読み解いていく稽古時間も本番を迎えてからも、もう毎日思いもよらない発見の連続。掴んだと思っても、すぐ先にもう一つ新しい扉があったりして、永遠に作品の中で遊んでいられるなと思わせてくれる、私にとってはもはや「ご褒美」のような時間になりつつあります。

―― その「発見」とは、具体的にどのような時に感じるのでしょうか。

不思議と本番に入ってからも、セリフを言いながら「あれ、このセリフ、この人のベクトルじゃないな」と気づく瞬間があるんです。森さんが熱心に勉強して読み解いてくださる解釈を聞くのも面白いですが、稽古中に散々やり尽くしたと思うシーンでも、本番で相手役とセリフを交わしているときに、ふと言葉の意味がわかる。それを終演後に森さんに伝えると、森さんも「そうだね!」と一緒にそれを喜び、楽しんでくれるんです。取り組んでも、取り組んでも尻尾を掴みきれず、発見がある。それがシェイクスピア戯曲の魅力ですね 。

―― これからまた「ご褒美」の時間がはじまりますね。

そうですね。とはいえ、負荷やプレッシャーは他の作品と比べると特別なものがあって、毎回舞台にあがるたびに「もう帰りたい」と思うほど(笑)。実は第一弾の『ジュリアス・シーザー』が終わった時点で、森さんと3部作をやろうとは決めていたんです。でも前回の『ハムレットQ1』が終わったとき、必死で2ヶ月を駆け抜けて「もうやりきった……、またシェイクスピアをやりたいと思えない」とまで感じていました。だから、3作目はもういいかなと思っていたんですが、1ヶ月ぐらい経つと、次は何をやろうかな?と考えている自分がいて。シェイクスピアって本当に不思議なんですよね 。
俳優って本当にドMですよね。いい大人が演出家から怒られたり「そうじゃない!」と言われたりしても、それでもやるっていう。逆にシェイクスピア自身は「ドS」じゃないかと思っていて、だから実は相性がいい(笑)。難しい作品であればあるほど向き合う時間はとても苦しいけれど、でもそれが楽しさでもあり、発見した瞬間の喜びも大きい。その回数がシェイクスピア戯曲はとても多いなと感じています 。
ずっとシェイクスピアから「お前たちの解釈はそんなもんか」と試されている感じがあるんですよね。キャスト、スタッフ全員の知恵を持ち寄って挑んでも、まだ到達できない世界があって、隠されたテーマや意味を「全部読み解けているのか」と問われている気がします。

リチャードは本当に悪の権化なのか

吉田羊さん
―― 過去二作で演じたブルータス、ハムレットとは真逆の〝悪党〟であるリチャード三世についてはどう感じていますか?

森さんからの「真逆の役を見てみたい」というリクエストにはとても共感しましたし、私自身も挑戦したいと思いました。原作を読んだときにリチャードという人が面白くてしょうがなかったんですよね。私の中にブルータスの正義もハムレットの葛藤もあるし、一方でリチャードの醜悪さもあるんです。今回はその醜いもの、弱さによりフォーカスしたキャラクターをぜひ演じてみたいなと思いました。
リチャードは悪の権化として描かれることが多いですが、私は根っからの性悪ではないと思っていて。言葉の端々に「どうせ俺なんて」という卑屈さや嫉妬が滲んでいる。もし子供の頃に家族から愛情を受けて育っていたらこうはならなかったかもしれない、という思いが本人にあるのかもしれない。自分が受けてきた疎外に対する武器として、知恵や機転を身につけて一生懸命に自分の人生を立ててきた証が〝悪〟なのかなと思うと、それは彼の人生に背負わされた悲しい部分でもあるなと感じました。なので今回は「リチャードは本当に悪の権化だったのか」というところから役作りに入っていこうと思っています。

―― リチャードの醜悪さがご自身の中にもある、おっしゃっていましたが、どんなところに感じるところがありましたか?

まるで椅子取りゲームのように周りを巻き込んで、あっという間に首を切っていくことを楽しんでいる。そう見えるのは、人よりも自分が劣っていると思っている分、人を支配できていることに対する「高揚感」があるからではないでしょうか。虐げられてきたからこそ、人を見下す立場に立つことにより強く惹かれ、そうすることで自分という存在を保っている部分もあるのかなと想像しています。
大きい話に聞こえますけど、自分に置き換えたとき、誰かとセッションしていて自分の意見が通った瞬間や、論破できた瞬間に感じる「気持ちよさ」に近いものかもしれません。人間は誰しも持っている感情ですし、ご覧いただく方たちにも共感していただける部分ではないかなと思っています。本人はそうじゃないと思い込んでいるだけで、無意識下には実は誰しもあるものなんじゃないかなと。

上演は約2時間半、疾走感のある凝縮された作品に

吉田羊さん
―― 今回の上演台本は、かなり大胆にカットされているとお聞きしました。

そうなんです。普通にやれば4~5時間とかかってしまうところを、今回も過去二作に続き、森さんが大胆にカットして、2時間半を目指しています。観る方にとっては、本当に分かりやすくスッキリして見えると思いますし、一瞬たりとも見逃せない疾走感が出ているはずです。
実はカットした部分は、リチャードの残虐性を最も象徴するようなシーンだったりするんですけど、そこをあえてカットして、その後の誰かのセリフで語らせることで、より観客の皆さんの想像力を刺激する作りになっています。お客様の想像力をお借りしながら、「始まったらあっという間だったね」「シェイクスピアってこんなに面白いんだね」と思っていただける作品を目指したいです。

―― 最後に、楽しみにしている皆様へメッセージをお願いします。

シェイクスピアというだけで「難しい、長い」という苦手意識がある方にこそ、ぜひ観に来ていただきたい作品です。400年以上前のお話ではありますが、心の闇のような部分は現代にも通じるテーマでもあります。リチャードの残虐性や醜悪さにフォーカスされがちですが、意外と笑えるところがたくさんあるので、そこはきちんとお客さんに笑っていただけるように作り込んでいけたらなと思います。これまでのシリーズも稽古場がとにかく楽しくて笑いが絶えなかったので、今回も和気藹々と作り上げたいですね。

(取材・文/幸山梨奈)
(撮影/中村麻子)

CAST&STAFFキャスト&スタッフ

【出演】

リチャード三世
吉田 羊

アン/ラトクリフ
愛希れいか

エリザベス/リッチモンド
中越典子

バッキンガム
赤澤遼太郎

ヨーク公爵夫人/エドワード四世
増子倭文江

リヴァーズ/ブラッケンベリー
浅野雅博

ヘイスティングズ/ティレル
星 智也

ケイツビー
清田智彦

マーガレット
篠井英介

スタンリー/クラレンス
渡辺いっけい

【作】
ウィリアム・シェイクスピア

【翻訳】
松岡和子

【演出】
森新太郎

INFORMATION公演情報

公演名
パルコ・プロデュース2026『リチャード三世』
会場
【東京】PARCO劇場
上演日
2026年5月10日(日)~5月31日(日)
料金
【定価】全席指定:11,000円→
《ご優待価格》平日8,800円/土日9,900円
公演名
パルコ・プロデュース2026『リチャード三世』
会場
【大阪】森ノ宮ピロティホール
上演日
2026年6月6日(土)~6月7日(日)
料金
【定価】全席指定:11,500円