INTERVIEW
日本初演となるラテンミュージカルコメディ『神経衰弱ぎりぎりの女たち』で初共演を果たす、主演の望海風斗さん、共演の和希そらさんに作品へかける思いをお伺いしました。
(左から)望海風斗さん、和希そらさん
絶妙に噛み合わない群像劇。どんな表現で舞台になるのか楽しみ
―― 日本では初上演の作品ですが、オファーがあったときの心境、作品の第一印象を教えてください。演出をされる上田一豪さんは「望海風斗主演に最もふさわしい」として、強く推薦されたそうですが、そう言われて望海さんご自身はどう思われましたか。
望海一豪さんが何を思ってそう言ってくださったのか、謎ではあるんですが(笑)。きっと私が普段から仕事でも何でもギリギリな状態で動いているのを見て、面白がってぴったりだと思ってくださったのかなと想像しています。原作になっているスペイン映画は、今回の出演が決まってから拝見したのですが、ブラックな要素もある大人のコメディ。これまでここまでのコメディ作品は経験してこなかったので、すごく嬉しかったですし、女性たちが強く描かれている点にも魅力を感じました。演じながら私自身も楽しみたいなという気持ちでいっぱいです。
和希いわゆる普通の作品って、主役のストーリーが主軸にあって、そこにいろんな人が巻き込まれていく、という形が多いと思うんです。でも、この作品は登場人物がみんなジレンマを抱えて、それが絶妙に物語の最後のほうになっても噛み合わなくて(笑)。そこがどう舞台で表現されて、終わるのか、今はまったく想像がつきませんが、だからこそ面白いですよね。まだ仮の台本を読んだ段階ですが、想像がつかないものを作り上げていくことへの期待で本当に胸いっぱいです。
―― それぞれ感情の起伏が激しい〝神経衰弱ぎりぎり〟な役どころですが、演じる役柄をどう捉えていますか? 普段とは違う、感情の振れ幅のある役を演じる上でプランなどはありますか?
望海私自身は穏やかに生きていたいですけど(笑)、やっぱり人ってギリギリのときに「素」が出ますよね。自分自身を振り返ってみても「ギリギリのときに私ってこういうとこ出ちゃうんだな……」と自分で自分にショックを受けることもあるので、そういう意味ではこの作品に共感できる部分もあります。この作品はコメディなので、登場人物たちがどれほど真剣に〝ギリギリ〟を味わっているかが面白さのカギでもあると思うので、どれだけギリギリの状況に自分を置けるかを考えていきたいですね。
和希私は望海さん演じる主人公ペパの親友カンデラ役を演じます。台本を読んでいるとカンデラって「落ち着け!」って声をかけたくなるくらい理性を超えちゃってるんです(笑)。よく今の時代に生きていられたねっていうくらい、本能で動いている。普段の自分とは全く違う、本能で動きまくるという役どころを、どう表現していこうかワクワクしますね。なかなか厄介といえば厄介な人物ではありますが、周りから愛してもらえる何かを持った憎めない人でもある。それが愛嬌なのか何なのか、お稽古しながら私なりに探していきたいと思っています。
稽古も〝ギリギリ〟初日まで〝ギリギリ〟の状態でいくんだろうな
―― トニー賞ノミネート作の日本初演に挑むお二人。初めてこの作品に触れる観客も多い中、どのように作品を作り上げていきたいでしょうか。
望海原作ともいえる映画自体はご覧になっている方もたくさんいらっしゃると思います。主演が決まったときに原作の映画監督のファンの方からたくさんメッセージをいただきました。ただ、原作映画とブロードウェイで上演されたミュージカルではまた少し見え方が違います。映画はスペインですが、ミュージカル化したのはブロードウェイなのでアメリカンジョークも満載。原作映画のファンの方からお𠮟りを受けないか心配も少しあります。でも、映画の持ち味は大事にしながらも、日本で上演するミュージカルとして、私たちらしい作品にできたらとは思っています。そこにはもう可能性しかないですよね!初演ならではの面白さであり、大変さでもあるんですが。きっと稽古でも〝ギリギリ〟、そして初日まで〝ギリギリ〟の状態で行くんだろうな(笑)。
和希私も望海さんがおっしゃった通り、まだ誰も見たことのない作品を作っていくという新しい挑戦にドキドキしています。原作や設定はあるにしても、形は決まっていない分、これからどうにでも私たちで挑戦していけるんですよね。型にはまりきらずに、殻を破りながら頑張れたらいいなと思っています。
―― 今回はブロードウェイ版のミュージカルということで、衣装やアクセサリーが華やかで、そこも見どころのひとつではないでしょうか。
望海そうですね。今日着ているビジュアル撮影での衣装と舞台ではまた少し違ってくるそうですが、映画版と比べるとミュージカル版は衣装もかなり華やか。衣装に役作りを助けられることはよくあります。
和希今日着ているピンクの衣装は、台本を読んだときのカンデラのイメージ通り。ピンクは私自身も大好きな色でもありテンションが上がりました。
―― ノリのいいラテンナンバーでのミュージカルになります。楽曲の魅力はどんなところでしょうか。
望海軽快なナンバーがいっぱいあって、楽しみではあるんですが、日本語が乗って、さらに自分がそれを歌うとなると、どうなるんだろうという課題はあります。ただショーとして楽曲を見せるのではなく、あくまでも物語の中で息づく人たちの歌。やりがいもある反面ちょっと怖い部分もあります。でも、ラテンミュージックですから!観客の皆さんも思わずウキウキしちゃうように、ノリよく披露できたらいいなと思っています。
和希まずはしっかり聞き込んで、自分の中に〝ラテン〟を流さないといけないなと思っています。私が歌う曲は原曲だとかなり早口。その言葉の詰まり具合が〝ギリギリ〟をすごく表しているんですけど、それが日本語だとどうなるんでしょう!?
―― それぞれ演出家の上田一豪さんとは舞台をご一緒されたことがあるそうですが、上田さんの演出の魅力はどんなところでしょうか。
望海〝大変〟な私たちを見て「大丈夫!大丈夫!」と笑いながら面白がる一豪さんの姿が目に浮かびます(笑)。人をワクワクさせたり、ハラハラさせたりする、特別なエネルギーを持った方なので、それをもらいながら、稽古中は一緒に楽しみつつ作品を作っていけたらいいなと思っています。
和希一豪さんはとてもフランクで、稽古場でも挑戦しやすい環境を作ってくださる方。前回ご一緒したときは、宝塚退団直後で自分を解放するのにすごく時間がかかった記憶があります。今回は早く解放して、色々な挑戦ができたらなと思っています。
和希さんの舞台〝センス〟が素晴らしいので、お稽古中に盗みたい
―― おふたりは宝塚出身の先輩後輩ですが、お互いの魅力について教えていただけますか。
望海和希さんの舞台上でのセンスは本当に素晴らしいと思っています。芝居においても歌においても、技術はもちろんですけれど、他の人にはない〝色〟があるんですよね。今回ご一緒するのを機に盗みたいですよね。お稽古中、じーっと見ちゃうと思います(笑)。
和希いえいえ、そっくりそのままお言葉をお返しさせてください。望海さんは、劇団内でも常にフラットで媚びないというか、地に足ついてどっしりされているのが、めちゃめちゃかっこいいと思っていました。その姿を客席からではなく、同じ稽古場、舞台上で間近で見られるのかと思うとすごく嬉しいです。
―― ご来場いただく皆様へ最後にメッセージをお願いします。
望海ラテンミュージカルコメディって、一体どんな感じなんだろう?と思われるかもしれませんが、ぜひ軽い気持ちで見に来てもらえたら嬉しいです。帰りには「すごく楽しかったな!」と心から思ってもらえるように、私たちは必死に作っていかなければと思っています。非常にワクワクするキャストの皆さんとご一緒するので、どんな化学反応が起こるのか、どういうふうに作用していくのかを、私自身も楽しみにしていますし、その仕上がりを皆さんにも期待して待っていてもらえたらと思っています。
和希今の段階ではまだ何もない状態ですが、それを共演者の皆さんと一緒にどう作り上げていくのかと思うとワクワクします。お客様も「どんな作品になるんだろう」とドキドキしていらっしゃると思いますが、私たちも同じですので、ぜひその思いを抱えてお待ちいただけたらと思います。
(取材・文/幸山梨奈)
(撮影/山本春花)