STORY
映像作家志望のマークと、友人で元人気ロックバンドのミュージシャン・ロジャーは、NY・イースト・ヴィレッジの古いロフトで暮らしていた。夢はあるが金が無く、クリスマス・イブに滞納している家賃(レント)のため電気も暖房も止められてしまう。
ロジャーの元恋人はドラッグ中毒の末エイズに罹り自殺してしまい、以来部屋に引きこもっている。 自身もHIVに感染している彼の夢は、死ぬ前に後世に残る名曲を残すことだった。イブの夜、ロジャーはロフトの下の階に住んでいるダンサーのミミに出会う。ミミもまた HIV 感染者であったが、それを知らないロジャーは彼女に惹かれながらも自分がHIV感染者である事に負い目を感じて、なかなか素直になれなかった。
一方マークはカリスマ的パフォーマンス・アーティストのモーリーンに振られたばかり。彼女の新しい恋人は男ではなくジョアンヌという女性弁護士だった。
そんな冴えない彼らに電話をかけてきたのは、親友で哲学者のトム・コリンズからだった。近くに来ているというが、電話を切った後強盗に襲われる。道端で気を失いそうになるコリンズを偶然見かけたストリート・ドラマーのエンジェルは傷の手当てを申し出る。彼らはHIV感染者という共通点から一気にその仲を深めていく・・。
仲間たちとクリスマスを祝うマークたちの前に、元同居人で今は彼らの住むアパートの管理人となったベニーが家賃を取り立てに来る。彼は家賃の支払い延期の代わりに、今夜行われるモーリーンのホームレス迫害に対する抗議ライブをやめるよう迫る。昔は同じ思いを持っていたはずのマークたちとベニーだったが、今は分かり合うことが出来ない。
モーリーンのライブの後、一同は、若きアーティストたちの溜り場「ライフ・カフェ」に集まった。彼らは 貧しくても自由に生き続けるアーティストの誇りと喜びを歌う。そこでロジャーはミミが自分と同じHIV感染者と知り、お互いの気持ちを打ち明けようやく恋人同士となった。
年が変わり、季節が過ぎ、彼らはそれぞれ新しい生活を始める。ロジャーはミミと暮らし始めていたが、 元恋人ベニーへの嫉妬と彼女を蝕むドラッグへの嫌悪から彼女と距離を置きサンタフェへ旅立って行った。モーリーンとジョアンヌは結婚を決意したがお互いの価値観の違いで喧嘩ばかり。マークは自分の作りたいドキュメンタリー作品ではなく、お金と生活の為に仕事をしていた。幸せに暮らしていたコリンズとエンジェルのカップルの前には「死」という別れが待っていた・・。
2度目のクリスマス・イブ。マークは金目当ての仕事を辞めてついに自分の作品を完成させ、ロジャーは大切な曲を書き上げようとNYへ戻ってきた。そこへ、行方不明となっていたミミが瀕死の状態で運び込まれる。再び出会った彼らが、そこで見たものとは・・
REPORT
RENT記者発表
RENTは1996年の初演以来、ブロードウェイで12年4ヶ月のロングランを続け、2011年にはオフブロードウェイで上演されました。世界15ヶ国で各国版の上演、2006年には映画化もされ、シアタークリエでの上演は今回が6回目となります。
「RENTHEADS(レントヘッズ)」と呼ばれる熱狂的なファンを持ち、日本だけでなく世界中のファンに愛され続けている作品です。
RENTの中で生きる若きアーティストたちはHIV、セクシャルマイノリティ、ブラックなど様々な思いや問題を抱えながらも、愛や友情を信じ、夢に向かって輝き続けます。
R&B、ロック、タンゴなど様々なジャンルの魅力的な音楽とともに届けられる今を精一杯生きるという強いメッセージ。RENTが放つ強いメッセージは、ブロードウェイ初演から20年以上経った今でも色褪せることはありません。
今回もまたオーディションで多くの新キャストを迎え、がらりと顔ぶれの変わったカンパニーがシアタークリエに約3年ぶりに帰ってきます。
90年代のニューヨークを舞台に、貧困、エイズ、ドラッグといった死と隣合わせの生々しい問題に直面しながらも懸命に生きる若者たちの姿は、描いた未知の病気によって人と人とのつながりに大きな変化が起き、新たな問題に直面する私たちの姿とも重なり、「RENT」が伝えるメッセージは2020年の今こそより大きく響くのではないかと思っております。今回はYouTubeでの配信を通じてより多くのみなさまにミュージカルナンバーをお届けしたいと思います。
▲『Season of Love』キャスト全員20名
「RENT」のテーマ曲ともいえるこの曲は2幕の冒頭で歌われます。分数にして52万5600分、1年という時をどう生きるのかというメッセージが胸に深くしみ込んでくるナンバーです。
▲『Another Day』
堂珍義邦、甲斐翔真、遥海、八木アリサ
▲『What You Own』
花村想太、平間壮一、堂珍義邦、甲斐翔真
全3曲制作発表スペシャルバージョンでお届けしました。
花村(初)
2017年に初めてこのRENTという作品に触れました。この作品を観て、ミュージカルの舞台に立ちたいと思った一人なので、その夢が叶おうとしていることが本当に幸せです。命がけでやっていきたいと思いますのでよろしくお願いします。
平間(2015、2017エンジェル役)
YouTubeをご覧のみなさん、夕飯を食べながら観ていただいているのでしょうか。楽しい話ができるように頑張りますのでよろしくお願いします。
堂珍(2015、2017ロジャー役)
この作品は自分にとってたくさんターニングポイントになっています。ちゃんと最後まで走りぬくことを目標にやっていけたらと思っています。
甲斐(初)
世界中で愛されるこの作品に出演できることをとても嬉しく思います。初めてミュージカルのオーディションを受けたのも「RENT」だったので、幕が開くかどうかというところで不安でしたが、どうにか幕が開きそうです。こういった制作発表の場でみなさんに発信できることも幸せです。
遥海(初)
ミュージカルをやると思っていなかったのが正直なところですが、初めてのミュージカルが「RENT」で言葉にできない感情がたくさんあります。わからないことも多いですが、稽古も始まってみなさんに助けていただいています。自分なりのミミを演じられるように精一杯頑張っていきたいと思います。
八木(初)
今日初めてカラオケ以外のところで歌を歌って緊張しました。2020年に初舞台、初ミュージカルでみなさんとご一緒できてとても嬉しいです。2020年にこの「RENT」をお届けできそうなのがとてもワクワクしています。みんなで精一杯頑張っていきます。
加藤(2012、2015コリンズ役)
新しいみんなと愛を紡いでいい作品にして、この世の中で頑張っていきたいと思います。
光永(2017コリンズ役)
キャストで選んでいただくずっと前からレントヘッズでした。ものすごく好きで本当に好きな作品に、自分が観ていた「RENT」のこの場に立てていることに感動です。今日の『Seasons of Love』で泣きそうでした。90年代のニューヨークでエイズという病気がまったくわからず混乱していたものが、2020年に全世界で起こった新型コロナウイルスにすごく通じると思います。時を超えて今につながるメッセージがこの作品に必ず詰まっていると思うので、精一杯僕たちが伝えられるように頑張っていきます。
RIOSKE(初)
今回初ミュージカル、初舞台なんですが、最初このオーディションの話が受かったって聞いたとき信じられませんでした。ずっと大好きな作品で、世界的に愛されている作品ということで自分の中でのハードルも高いし、プレッシャーも多かったです。でもこうやって稽古が始まって、このRENTファミリーがこんなにも愛がある場所で、毎日幸せに稽古をしています。この幸せやたくさんの思いを早くみなさんにお届けできるのを楽しみにこれからも頑張っていきます。
上口(初)
観に来てくださったみなさまが2020年を振り返ったときに、いろんなことがあったけどあの時「RENT」を観てよかったなと思っていただけるようなそんな作品を目標に挑みます。
フランク(初)
2011年にミュージカル界に飛び込んで、それからずっと「RENT」という作品に出ることとモーリーン役をやることが長年の目標でした。2020年という大変な年ですけど、今年「RENT」に出演させていただくことをとても嬉しく思います。この作品の持つ力に私自身すごく励まされながら稽古をしています。すごく素敵なキャストのみなさんとスタッフのみなさんと力を合わせてみなさんにこの作品を届けたいと思います。
鈴木(初)
2020年、新型コロナウイルスという病が広がっている中で、「RENT」の幕が開こうとしているのは奇跡に近いこと。だからこそ、この時代に「RENT」を届けられるということが本当に意味のある素晴らしいことだなと実感しています。モーリーン役はさまざまな方々がこれまでやってきていて、いろんな形のモーリーンがいて、どんなモーリーンを演じたらいいのか不安はありますが、RENTの中に入ってからすごく心がオープンです。すべて受け止めてくれるという安心感がある優しいみなさんのおかげなので、この気持ちをずっと忘れないでモーリーンという女性を作り上げていきたいと思います。
宮本(2015、2017ジョアンヌ役)
ありがたいことに今回3回目で出演させていただけるということで、毎回毎回違う「RENT」という世界を新しいキャストと作っていくんですけれども、2020年という年はソーシャルディスタンス、人とつながれないというみなさんが押さえつけられて我慢してという生活を送っている中、人間にはこんなにも激しい感情がいくつもあって、つながるということはこんなに素敵なことなんだとお稽古を通して日々感じています。みんなで今年しか届けられない今年ならではの「RENT」をお届けできるように頑張ります。
吉田広大(初)
ベニーが持つ目標に向かう強さ、憎たらしさの中に垣間見える仲間に対する優しさを自分なりに表現できたらなと思います。「RENT」全体を通して僕ももっともっと愛を知っていくんだと思いますし、その愛をみなさまにお届けできるのを楽しみにしています。一生懸命頑張っていきたいと思います。
ICHI
大好きな作品に出られて本当に幸せですし、同じベクトルに向かって歩いている仲間というか家族がいることが本当に幸せです。今、稽古が始まって壁にぶつかることもあるんですが、全身全霊で殻を破って頑張っていきたいと思います。
コリ伽路
まさか自分がこの作品に出られると思っていなかったんですけど、みなさんと一緒に「RENT」のメンバーになれて幸せで仕方ないです。日々稽古の中でみなさんの愛を感じますし、最後までこの仲間後乗り切れていけたらいいなと心から思います。
楢木
3回目の出演ですが、僕はもともとキャスティングされていませんでした。新型コロナウイルスの影響で悲しいことになってしまいましたが、このコロナのおかげで僕はここにいます。コロナに感謝というのはおかしいんですけど、起こったことに対して自分は何ができるのかなと考えながら行動していくのがすごく大切だなと思います。『Seasons of Love』、今年何で数えますか?コロナですか?愛で数えましょう。これ、さっきからずっと考えてました(笑)。この機会に感謝して今年しかできない特別な「RENT」ができるはずなので、それをお届けできるように頑張ります。
小熊
たくさんの愛を精一杯みなさんに届けて、支えていきたいと思います。
吉田
多くの作品が上演できないという状況の中、「RENT」という作品をみなさまに届けられるということが本当にうれしい限りで幸せです。毎日このカンパニーのみなさんでよりよい作品を作り上げるために葛藤しながらそれぞれ稽古に励んでいます。ご来場のみなさまに本当に満足していただけると思いますのでこうご期待です。
吉原
僕はオーディションに受かってここにいるんですけれども、キャストのみなさんはどんな人だろうとドキドキしながら稽古を迎えました。素敵な方々とできるのが毎日幸せです。僕自身がトランスジェンダーであることをカミングアウトしたんですけど、そのときのみなさんの反応がとても温かくて今すごく居心地がいいです。このメンバーでよかったなと思っています。この素敵な人たちと「RENT」ができるのは本当に幸せです。ぜひみなさん劇場に足を運んでください。
―― すでに稽古が始まっているとのことですが、今回初出演の方は、この2020年に「RENT」に挑む今の気持ちを教えてください。
花村 僕はほかの仕事の都合上、稽古に入れる回数が多いわけではないんですが、稽古場に行くとその世界に引き込まれるというか、「RENT」の力強さみたいなものを感じます。一歩踏み入れた瞬間に覇気というか気を引き締めないといけないなと感じるんですが、これが「RENT」の力なのかなと日々感じています。
甲斐 僕はミュージカルでいうと2本目なんですが、映像の仕事でいうとそうであるべきなんでしょうけど、「RENT」はウソが通用しないというか、本物になるという稽古場です。本物に近づいていかないといけないので、個人個人が怖かったり、キツかったり、辛かったりするんですけど、きっと苦しい思いをしたからこそ出来上がるものなんじゃないかなと日々感じながら稽古をしています。2020年のこの時代にやる意味があると信じて僕らも走り続けたいと思います。
遥海 ミミ役をオーディションで受けて、無事に合格できて、大好きな作品ですし関われることがものすごく嬉しいです。でも、ミミっていう人はストリッパーだったり、麻薬に依存してしまったり、HIVに感染していたり、どれも共感できないなという不安はありました。稽古が始まってアンディとたくさんお話することができて、役というよりはミミの中の「No day, But today」という今を生きることの大切さにはすごく共感できる部分があって、そこにコネクトできるようになってから、見え方が変わりました。ミミを頑張って演じようというか、自分の中のミミってなんだろうと毎日考えています。自分にしかできないミミ役を本番までに見つけて、素敵なミミが見せられるように頑張ります。
八木 毎日稽古をしている中ですごい体力を使うんですよ。1日1曲の日もあれば2~3曲の日もあって、楽曲のジャンルがバラバラだったり、明るければ稽古も楽しい感じで、ずしんと来る曲のときはえぐり取られるようなぐちゃぐちゃな感じになります。遥海ちゃんとは初舞台、初ミュージカル同士で、私は歌が初めて、遥海ちゃんはお芝居初めてなんですが遥海ちゃんがとても優しくて。みんながチーンとなっていると後ろからハグしてくれたりとか。みんなすごく温かくて受け止めあってさらけ出し合っていることがすごく充実した日々です。それを作品としてお届けできるのは怖いこともあるんですが、素敵なものをお届けしますので是非観に来てほしいなと思います。
RIOSKE 初めての演技だったり、舞台だったりということでスタッフさんやアンディやマーカスと話している中で演技と思わず自分の気持ちでアクトする、エンジェルですけどRIOSKEとして何かを歌ったり話したりすることが大事なんだなと教わりました。エンジェルは自分と似ている部分がたくさんあります。明るいところやシェアハピでみんなとワイワイするのが好きなところです。自分にしかできないエンジェルを目指してこれからも頑張っていきたいと思います。
上口 愛にあふれた稽古場だなと感じています。稽古が始まった序盤にいろんな話を全員としました。ここまで一人一人のことを詳しく知っている現場って珍しいんじゃないかなと感じています。みんな家族みたいな感覚ですけど、それぞれ自分のパフォーマンスに責任を持っているので、稽古場で緊張しているのを温かく見てくれているのも刺激的で愛があってとてもいい稽古場だなと思います。エンジェルが歌う歌で「Today for you, tomorrow for you」というのがありますが、今日みんなのために生きることで明日自分に愛が返ってくると感じていて、その愛のエネルギーがまた今日あなたに与えられるという愛の連鎖になるというイメージがあります。観に来てくださったみなさまにもそういったいい愛の連鎖が届くといいなと思っています。
フランク 何年も前から「RENT」に出たいという強い思いを持っていたんですけど、昔は「RENT」という作品や登場人物に共感できると思っていたので、出演できることがすごく嬉しいです。でも、その分のプレッシャーで情報解禁の日に具合が悪くなって寝込んでしまいました(笑)。2020年に入って世の中がこんな風に変わっていって、共感が全く違う角度から作品に与えられています。モーリーンという役は『Over the moon』という抗議パフォーマンスをするんですが、前はどうやってあのパフォーマンスを作っていこうかと悩んでいて、100%理解できない部分があったんですけど、モーリーンの曲でもほかの曲でも2020年にリンクしていることがたくさん出てきます。ジョナサン・ラーソンや預言者だったのかと思うくらい今年につながる言葉が出てきます。例えば、私たちのパフォーマンスでは、「取り上げられたの、パフォーマンススペース、その代わりはウソとルールとバーチャルライフ」という言葉があるんですけど、まさに今だなという共感を新たに得ることができて、演出のアンディに自分でパフォーマンスをイチから作ってきてと課題を与えられて、そこに今年自分が抱いた世の中への疑問とか全部詰め込んで作りました。そのときに全く違う角度から「RENT」という作品と役を見ることができました。愛を伝えていくためにウソや不公平にいい意味で中指立ててモーリーンを作っていき、この作品を伝えていきたいと思います。
鈴木 これまで「RENT」を観てきて自分の明るい性格がモーリーンっぽいなと思うことがずっとありました。稽古に入ってみて、やっぱり私モーリーンじゃん!と思うところがあります。でも、1対1で『Over the moon』の稽古に入ったときに、空気管はモーリーンかもしれないけど、モーリーンの信念の強さというか訴えたい心、子供っぽくもあり、全部ぶつけていく強さ、さらけ出し方が私には全然足りてない部分です。そこを稽古に入ってこじあけられ、本当は持っていた自分をこの時代に隠さないといけなかったりとか、変わらざるを得なかった自分を元の私に戻してくれてやっと今モーリーンという女性とつながれたと思います。難しい世界観と役柄ですが、自分が演じるというより、自分がモーリーンというものをどんどん出していかないといけないので、つかんだものをどんどん広げていきたいなという思いです。
吉田広大 稽古を始める前に映画やDVDを観て、こういう世界観かなとイメージして稽古に入りました。稽古を重ねるにつれて「RENT」の世界が自分のリアルになっていく感覚です。2020年、新型コロナウイルスで遠い国の人がたくさん亡くなっていているニュースを観たりすると、それをもっとリアルに感じることができているなと思います。1990年代のニューヨークで起きたことをもっと知りたくなったし、その上で自分がやらせてもらうベニーはどう生きて、あんな言葉を言ったんだろうとか自分の中で考える要素がたくさんいただけているなと思います。基本的にベニーは嫌われ者なので、1対19みたいなときは泣きそうになってますけど(笑)、その後にみんながフランクに話しかけてくれたりするとほっとするみたいなことがあります。日々みなさんの愛を感じたり、稽古に対する熱意を感じたりするたびに自分も引き上げていってもらっています。
―― 演出のアンディさんは海外にいらっしゃるので、リモートで稽古していると伺っています。これまでと稽古の仕方が変わると思うんですが、リモートの稽古はどんな感じでしょうか?
平間 全部新鮮ですよね。マスクしながら稽古するのもそうですし。心を開いて距離を縮めながら稽古したいところをひとつ壁があることによってもどかしい部分がありますが、みんなそれに耐えて稽古しています。その共通する思いがみんなをひとつにしているのかなと思います。今しかできない稽古だと思うと特別な「RENT」になるのかなと思いながらやっています。
堂珍 直接演出家のふたりと会って稽古できない分、経験しているキャストたちが補えるものがあればいいなと思って毎日います。基本的にはやることは一緒なので、壁をうまく乗り越えながら本番の幕が開くまでみんなでいけたらいいなという思いです。
平間 リモート稽古なので、細かいところやこちらのパワーが画面越しにどこまで届いているのかを調整しながらやっています。なので、いつもの稽古よりはスタッフさんを含めてひとつになって稽古しているなと感じています。
―― 初めてミュージカルを観る方に向けて、「RENT」の見所やおすすめのシーンを教えてください。
花村 全部ですね(笑)いろんな感動の積み重ねがあるので、どこを注目して観るというか頭から最後までいくと「RENT」です。
平間 僕が初めてミュージカルを観たときは歌がセリフというのを初めて知りました。音楽だと思わずに何を言っているんだろうと聞いてもらえると最後までおいていいかれずに楽しめると思います。
花村 『Seasons of Love』でも行っていたように、人生は1分の積み重ねで、もっと言えば1秒とか一瞬の積み重ねだと思います。そこに「感動」というスパイスが加わると一生心に残って「永遠」になると思います。その「永遠」になる瞬間が「RENT」にはたくさん詰まっています。このご時世なので無理にとは言いませんが足を運んでいただけると嬉しいです。僕たちがどんなに死ぬ気でやって、どんなに最高のものを作っても、観てくださる方がいなければそれは素晴らしいことではないと思うので、「RENT」という世界を素晴らしい存在にするために力を貸してください。
平間 愛は人によっていろんな形があります。色も違うし、匂いだって違う。死が愛だったり、自分にとって何かを教えてくれることが愛ともいえるので、整理がつかないことがあったときに「RENT」という場所がみなさんの気持ちを受け取れる場所でありたいなと思っています。今の段階では自分たちが楽しくて、自分たちが苦しくていろんな稽古を頑張った姿をみなさんに見せますという思いではあるんですが、一人一人、稽古場で泣いたりいろんな苦しい思いがありながら、アンディと戦ってみなさんの前に立つときにはみなさんの愛を受け取れる場所であるように頑張っていくので無理はなさらずに是非劇場に足を運んでいただければと思います。