INTRODUCTION イントロダクション

筒井康隆の傑作小説を、
新たな上演台本で舞台化!
音楽とダンスの狂乱とともに
令和に甦る!!

KAAT神奈川芸術劇場プロデュース『ジャズ大名』は、江戸末期にアメリカから漂着した黒人奴隷と出会った音楽好きの藩主が、彼らの奏でる音楽の虜となり、城中でジャム・セッションを繰り広げる姿を描く奇想天外なコメディ。原作は筒井康隆の小説「ジャズ大名」で、1986年には岡本喜八監督、古谷一行主演で映画化。

今回は演出家の福原充則が新たに上演台本を書き起こし、物語の舞台を原作の九州の小藩から、実在した神奈川・小田原藩の支藩、荻野山中藩に置き換え、神奈川の史実を織り込んでアレンジ。神奈川を拠点にするKAATならではのオリジナル作品を創りあげる。

STORY ストーリー

維新の嵐が吹き荒れる江戸末期、アメリカの南北戦争が終結し、解放された黒人奴隷が故郷のアフリカを目指して船に乗り込むが、日本の小藩に流れ着いてしまう。鎖国の世、外国人の取り扱いに困る藩の役人らは彼らを座敷牢に閉じ込めておくが、好奇心旺盛な藩主は彼らの奏でる楽器の音に夢中になり、次第に城中を巻き込んでジャム・セッションを繰り広げていく。熱狂はいつまでもいつまでも続き、そして…。

CAST&STAFF キャスト&スタッフ

【出演】

千葉雄大 藤井隆

大鶴佐助 山根和馬 
富田望生 大堀こういち

板橋駿谷 北尾亘 永島敬三 
福原冠 今國雅彦 佐久間麻由

ダンテ・カーヴァー イサナ モーゼス夢

高田静流 入手杏奈 米田沙織 
山根海音 神野幹暁

【演奏】
大熊ワタル 川口義之 辰巳光英 
和田充弘 桜井芳樹 こぐれみわぞう 
関根真理 関島岳郎

【原作】
筒井康隆 <「エロチック街道」(新潮文庫)所収>

【上演台本】
福原充則 山西竜矢

【演出】
福原充則

【音楽】
関島岳郎

【振付】
北尾亘

INTERVIEW インタビュー

舞台『ジャズ大名』は、幕末にあったかもしれない、人種、文化を超えて熱く交流する歴史のひとコマを、音楽とダンスの狂乱とともに描くコメディ作品。音楽好きの荻野山中藩の藩主・大久保教義役に千葉雄大、家老・石出九郎左衛門役に藤井隆のほか、個性的なキャストが集結している。人気と実力を兼ね備えた俳優陣が、演出家・福原充則の創り出す“筒井ワールド”を実現!
芸人・歌手・俳優としてマルチに活躍し、今作では家老役を務める藤井隆さんに、作品への意気込みや稽古場の雰囲気などをお聞きした。

藤井隆さん
コメディアン 藤井隆さん
──出演が決まったときのお気持ちを教えてください。

福原充則さんに声をかけていただいたのがまず嬉しかったですし、筒井康隆先生原作の舞台に出演させていただけるのもすごく嬉しいと思いました。加えて、KAAT神奈川芸術劇場での公演ということ、そこから旅公演が始まるというのも嬉しい要因のひとつです。

──「ジャズ大名」の原作小説または映画をご覧になったことはありますか?

舞台出演が決まってから映画を観たのですが、いい時代の映画だなぁと思いました。すごく立派なセットで、スケールも大きくて。この物語をどういう風に舞台にするのかなと想像して、楽しそうだなとも思いました。

──初めて上演台本を読んだときはどんな印象を持たれましたか?

福原さんは優しいだけじゃなくて、人を引っ張ってくださったり、試してくださったりする方。そういう福原さんならではの内容だなと思いました。人がどう生きていくのかとか、人がどう思っているのかとか、そういうものをすごく強く感じたというか。それは以前、福原さんの舞台を観たときにも感じたことで、愛情深さがあって素敵だなと思いました。

──稽古が始まり、福原さんの演出を受けて感じたことは?

すごくユーモアがある方なんですよ。真面目に聞いていたら冗談だったとか、冗談みたいにおっしゃっているけれど本当のリクエストだったりとか。そこまでまだ稽古が進んでいないので、作品を語るのは気が引けるのですが…。今の状態でお話させていただくならば、物語は、ぐらぐら沸騰していくような熱のあるお話だと思うのですが、人それぞれ沸点が違っていいんだよと言ってもらっているような気がします。キャストの人数が多いですし、本当に誰一人として同じ人はいないですし。福原さんはすごく目を光らせてくださっていて、一人一人と向き合って稽古を進めてくださるのですごく楽しいです。

藤井隆さん
──今、現場の雰囲気はどんな感じですか?

時代劇なので、浴衣を着て帯を締めて稽古をするんですけど、本当に体が動く方がたくさんいらっしゃる現場です。着物を着てよくそんな所作ができるなとか、本当に身軽に動かれるなとか、見ていて楽しいです。見て楽しんでる場合じゃなくて、自分もちゃんと動かないといけないのですが、つい見て楽しんじゃいます!しかも、割と早い段階で稽古場に仮セットを組んでくださっているので、床にテープで線や印をつけただけでやるのと違って、高さがあるので動きがやっぱり変わりますよね。よりダイナミックになります。
福原さんの言葉ではないので勝手に言うのも何ですが、僕はやっぱり『ジャズ大名』にダイナミックなものを感じます。

──今作で演じる家老役について、印象や感じたことを教えてください。

キャストの中では大堀こういちさんが一番年上でいらっしゃるんですが、僕が家老なのでセリフを言いながら大堀さんの先を歩いたりするんですよ。しかも、僕は年齢的には大堀さんの次じゃん、と気づいて身が引き締まりました。もう自分がそんな年なんやとガッカリしました(笑)。今までだったらもう少し身軽な役をやらせていただいたのにって。本当にここ数年で、あからさまに上から数えた方が早くなっちゃったから、以前は同世代や先輩があんなにいらっしゃったのにな…と、それはすごく感じました。
家老はお殿様を近くで支える人物です。人が何かに夢中になっているのを側で見ていると楽しいですよね?でも、家老という職業柄、お殿様が音楽に夢中になるのを戒めないといけないという役です。千葉雄大(藩主・大久保教義役)さんが、稽古の段階で本当に「お仕えしたい」って思わせてくださるような方だと感じました。愛情深さがありますし、いい声ですし。千葉さんがお殿様でよかったなと思っています。

──千葉さんとは、何かお話などされましたか。

今の段階では、まだ全然。千葉さんが内に秘めているポップさはすごく伝わってくるんですけど、そういうのを雑談で話すような感じではないです。稽古場での席が隣なんですけど、僕もそんなにペラペラしゃべらないですし。でも、千葉さんと一緒にいてすごく心地いいです。以前、千葉さんとテレビの仕事でご一緒したときに「ずっと見てました」と言ってくれたので、千葉さんが僕のことを20年くらい前から知ってくれていることと、物語の中で家老は先代の殿の頃からお仕えしているということが何となく重なって、おもしろいなと思いました。

藤井隆さん
──今作は音楽にあふれる舞台になると思いますが、どんなところが魅力でしょうか。

まだ稽古ではご一緒していないのですが、ミュージシャンの皆さんが生演奏をしてくださるのでとても楽しみです。自分が舞台を観に行ったときに目の前で演奏していただけると本当に楽しくなるし、幸せです。今作の音楽もお客様にぜひご期待いただきたいと思っています。

──藤井さんにとって、音楽はどんな存在ですか。

『ジャズ大名』の物語の中では、お殿様が外国の音楽に触れてどんどん夢中になっていくんですけど、理由もなく惹かれて夢中になれるっていうのが音楽のすごいところ。専門家に聞いたら、何かの理由があって「だから好きなんや」と気づくかもしれないですけどね。
音楽を聞いたときの環境や感情、そのときのニオイなんかを思い出したり、一瞬でそのときの年齢に戻れたりすることもあります。ちょうど僕は、ローティーンの頃に音楽を外に持ち出すことができるようになった世代。小学校低学年のときにウォークマンが登場して外で音楽が聴けるようになり、本当に音楽がグッと身近になったんです。中学生の頃にCDが出てきたときは夢のようでした。「ピカピカ光る銀の盤から音楽が鳴るなんて!」って。そのあとはMDですよね。聴きたい音楽を自分でデジタルで編集できる時代になって。僕らより上の世代も若い世代ももちろんそれぞれ音楽の大切さをご存知ですけど、僕らの世代は音楽と深い向き合い方をしている人が多いので、得したなぁなんて思っています。テレビも映画も大好きですけど、いつも自分の近いところにいてくれる大切な存在です。

──今作の中で家老は陣太鼓の達人ということですが、藤井さん自身は何かの達人と言えるものはありますか。

達人というか、家老は陣太鼓の師範なんですよ。僕にとってはなにかなぁ…。あ、包装はできると思います。ラッピングです。高校時代、デパートでアルバイトをしたときに教わったんですけど、すごく上手ですよ。デパートなので大抵は箱に入ったものを包むので、四角い形のものなら自信があります。

──最後に、観劇されるお客様へのメッセージをお願いします。

まずは、12月のお忙しいであろう時期に、横浜の劇場へ足をお運びいただけることに感謝します。KAAT神奈川芸術劇場は、なんというか独特の雰囲気があるんですよね。自分が芝居を観に来たときも、以前に出させていただいたときも感じたのですが、異空間というか非日常色が強くて。しかも今回は『ジャズ大名』ですから、音楽もあるのでたくさん楽しんでいただけたらと思っています。そして、KAATのあとは「神戸文化ホール」と「刈谷市総合文化センター」と「高槻城公園芸術文化劇場」での公演が続きます。すごく楽しいメンバーの皆さんと横浜で公演をしてから旅公演に出ますので、絶対楽しくなること間違いなしです。今、一生懸命稽古を頑張っていますので、きっといい作品になると思います。スタッフそして出演者一同、心からお待ちしておりますので、ぜひお越しいただきたいです!

(取材・文/井上菜々子)

ヘアメイク/竹内美紀代
スタイリスト/奥田ひろ子
衣裳協力/ネニュファール[TEL:078-381-7083] 
soerte[TEL:03-6427-0203]

EVENT 公演情報

公演名
KAAT神奈川芸術劇場プロデュース
『ジャズ大名』
会場
【神奈川】KAAT神奈川芸術劇場
公演日程
2023年12月9日(土)~12月24日(日)
料金
《定価》S席:8,800円/S席平日夜割:7,900円⇒
《ご優待価格》 S席:7,900円/S席平日夜割:7,700円

公演終了