国民的俳優・松平健さんとモノマネ界のレジェンド・コロッケさんという、日本が誇るふたりのエンターテイナーに、今回の舞台への熱い思いをたっぷりお伺いしました。
(左から)コロッケさん、松平健さん
国民的時代劇『暴れん坊将軍』に〝モノマネ〟コロッケが加わると…
――まずは、来年の公演への意気込みをお聞かせいただけますでしょうか。
松平 昨年に続き、またこうして明治座の舞台で『暴れん坊将軍』をやらせていただくことで、改めてこの作品の楽しさ、面白さというものを再認識しました。この作品は、時代劇の王道、笑いあり、泣きあり、最後にスッキリという展開で、きっと皆さんに楽しんでいただけるものになると思います。
コロッケ 僕はテレビドラマの『暴れん坊将軍』には出てないし、もちろんお話もなかったですが(笑)。だからこそ、『暴れん坊将軍』の世界に入れることが、僕としては本当に嬉しいんですよ。いち視聴者としてずっと見てきた時代劇ですし、松平さんは圧倒的な時代劇スターだと思っていますから。お話をもらったときは、嬉しくて部屋の中で〝暴れん坊〟しましたよ(笑)!
――松平さんは、コロッケさんが『暴れん坊将軍』に参加されることで、どのような変化を期待されていますか?
松平 今までの『暴れん坊将軍』の流れの中に、コロッケさんが入ることで、新しい〝色〟がつくんじゃないかと思っています。『暴れん坊』は元々も笑いあり、涙ありの時代劇ですが、〝笑い〟の部分がちょっと膨らむかもしれないですね。演出の細川さんも大変面白い作品を作る方なので、各所に笑えるようなところを作ってあるんじゃないかと。これまで何度かご一緒してますが、細やかに計算して演出される方。今回も元々の作品にはないような笑いの部分を作られるんじゃないかと思っているので、どこまで砕けるか……という挑戦でもありますね。
コロッケ 時代劇の中では、いつもの〝コロッケ〟は出しちゃいけないと僕自身思っています。誰もが知る『暴れん坊将軍』の大きな枠は外しちゃいけないので、役としての面白さや、軽快な動き、殺陣など、お芝居にはちゃんと専念したいな、と。ただ、脚本・演出の細川さんは、あり得ないことを〝あり得た〟ことにするような作り方をする方なんですよ。時代劇に〝モノマネ〟を入れても、違和感なく見せるような演出もきっとしてくださるだろうし、どこまでやっていいかという線引きをちゃんとしてくれるので、それは本当にありがたいですね。
――松平さんにとって『暴れん坊将軍』とはどのような存在でしょうか。
松平 24歳の頃から約25年間、そして初めて時代劇の主役をやらせてもらったのが『暴れん坊将軍』です。まさに共に成長したという思いもありますし、もう人生の一部です。時代劇ですけども、時事の事柄なんかも取り入れたりしていたので、時代劇だからといって遠く感じない、わかりやすく、親しみやすい作品だったんじゃないかと思っています。
――座長としての松平さんを、コロッケさんはどうご覧になっていますか?
コロッケ 松平さんはとにかく優しいんですよ。一座全員、誰にでも同じように接してくださるし、頂き物なんかがあると、僕を始め、共演者の楽屋にご自身で持ってこられるんですよ。そういう姿を見て、本当に見習わないといけないと思っています。ご自分の出番がないときも、ずっと皆さんの演技を見守ってくださっているから、座の結束がすごいですね。
――第二部は「マツケン・コロッケのゴールデンパラダイスショー」ですが、こちらはどんな舞台になりそうでしょうか。何か考えているアイデアはありますか?
コロッケ とにかくオープニングは、お客様を驚かせたいなと思っています。松平さんはどうですか?
松平 2026年の年初めになる作品なので、ご覧になった方が「今年もいい年になりそうだな」と、そんな明るい気持ちになれる舞台に仕上げられたらいいなと思います。ぜひ楽しみに来ていただきたいなと思います。
コロッケ あくまで僕の頭の中の構想は色々ありますので、提案してみたいと思っています。実現するのか、それを確かめるためにもぜひ見に来てくださいね。
ここからは芸能生活45周年を迎えた、コロッケさんに単独インタビューです。45周年という節目、ご自身の芸能生活を振り返り、モノマネタレントとしての新たな挑戦でもある今回の公演についても、深堀してお伺いしたいと思います。
〝淡谷先生〟からBTSまで即興で組み立てるモノマネショー
――公演タイトルにもあるように、コロッケさんは芸能生活45周年を迎えられました。
コロッケ 1980年にデビューして、今年で45年。長かったし、短かったしという印象ですね。レギュラーで出ていたモノマネ番組を視聴率が一番よかったときに辞めたり、自分で決めたことですが、波乱万丈でしたし、そういう意味で僕はモノマネ界の〝暴れん坊〟ですね(笑)。でも、「一度披露したモノマネを他の番組や舞台ではやらない」という自分でルールを作っていて、ずっと新しいネタを作り続けてきたからこそ、今があるのかなとも思っています。続けてこられたからこそ、昔は本当に接点のなかった松平健さんと一緒に舞台に立てるわけですから。
――今回の公演も全国からお客様がいらっしゃると思います。人気の秘密はどこにあると思われますか。
コロッケ 世代も時代も超えた、松平さんの人気は半端ないですからね。『暴れん坊将軍』から「マツケンサンバ」まで、おそらく5世代ぐらいにわたって松平さんはスターです。幼稚園生から老人ホームの方まで、みんなが踊れる曲なんて「マツケンサンバⅡ」だけですよね。松平さんの「本当のエンターテインメント」を皆さん、観たいんでしょうね。
そこに僕が参加させてもらえているのは、きっと明治座に松平さんの舞台を観に来られる世代の方々が、ちょうど僕がいちばんテレビで〝ふざけていた〟頃を楽しんで見てくださっていたからなのかなと思っています。時代劇とモノマネという、違うエンタメが合体するのは、お客さんにとって新鮮なんじゃないかな、と思っています。
――舞台『暴れん坊将軍』初参加のコロッケさんから見た、今回の舞台の見どころはどんなところでしょうか。
コロッケ 圧倒的な時代劇スターである松平さんをはじめ、役者の方たちの時代劇の殺陣や所作を生で見られるのも舞台版の『暴れん坊将軍』の魅力だと思っています。上様である松平さんは王道であり、正統派の美しさ、悪役の方とは動きがまったく違うんですよ。舞台は〝本物〟の殺陣や所作を生で見られる貴重な機会なので、ぜひそこにも注目して観てもらうとより面白さが倍増するはずです。
――第二部のショーへのこだわりや、お客様を驚かせるための仕掛けを教えてください。
コロッケ お客さんのいい意味で期待を裏切りたいという思いがあります。僕は常に新しいネタをやりたいので、最近は〝淡谷先生〟からBTSまで、全世代に楽しんでもらえるラインナップです。今回はお正月公演なので、とっておきの内容を考えていきたいです。
理想としては、30人ぐらいのモノマネはやりたいですね。舞台からはお客様がよく見えるので、客層によってネタも変えることもあるんです。僕よりも世代の上の方が多いときはたとえば元祖御三家や藤山一郎さん、お子さんが多くいるなと思ったら、トトロやミニオンを登場させたり。客層や雰囲気に合わせて、その場でネタを組み立てる即興的な部分も僕の舞台の見どころのひとつだと思っています。一部の『暴れん坊将軍』はもちろん、想像以上のものをお見せしたいです。後悔はさせません!
(取材・文/幸山梨奈)
(撮影/山本春花)