Special対談 vol.1

[Alexandros] 川上洋平

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三菱重工相模原ダイナボアーズ 坂本侑翼

小田急線下北沢駅で撮影する坂本侑翼さんと川上洋平さん

「THIS FES '24 in Sagamihara」を開催することで相模原の新しい魅力を見つけていきたい

相模原市初となる大型音楽イベント「THIS FES '24 in Sagamihara」が相模原ギオンフィールドで開催されます。このイベントを主催するのは、市制70周年を迎える相模原にルーツを持つ人気バンド[Alexandros]。イベントの開催を記念して、[Alexandros]のボーカル川上洋平さんと、相模原ギオンスタジアム(相模原ギオンフィールド隣接)をホームスタジアムとする地元ラグビーチーム、「三菱重工相模原ダイナボアーズ」で“タックル王子”の異名を持つ坂本侑翼選手の特別対談が実現!相模原やイベント、チームにかける思いを語っていただきました。

相模原はアクセスも良く落ち着いて暮らしやすい街

坂本侑翼さん、川上洋平さん
(左から)坂本侑翼さん、川上洋平さん
―― まずは、改めておふたりの自己紹介と、相模原との関わりについてからお伺いできますか。

川上 [Alexandros]というバンドでギターボーカルをしています。9歳から15歳までは中近東のシリアに住んでいたこともありますが、もともとの出身は相模原です。幼少期や思春期の大切な時期はここで過ごしていました。生まれも育ちも相模原市ということもあって、相模原に対しては愛着や愛情を感じています。

坂本 僕は「三菱重工相模原ダイナボアーズ」に所属するラグビー選手で、ポジションはフランカーです。相模原とのご縁は現在のチームに加入した2021年からで、現在は4年目です。出身は千葉県の君津市で、高校は柏へ。そこではずっと寮生活でした。その後、茨城県の大学に行きました。

川上 君津のご出身なんですね。僕はサラリーマンをやっていた時期もあるのですが、君津にはお客さんがいてよく通っていました。今でもたまに行きますが、とてもいいところですよね。ドライブスポットがたくさんあって、「相模原にもこういうところがあったらいいのに」とよく思っていました。

坂本 そうなんです、いいところなんです(笑)。ありがとうございます。

川上 相模原で出かけることはありますか。

坂本 そうですね。普段はみんなクラブハウスにいるので、そこまで機会は多くないのですが、たまにチームメンバーとカフェに行ったり、飲みに行ったり……ということはありますね。お休みのときは、相模川でバーベキューをしたり、上大島キャンプ場でキャンプをしたことも。自然が豊かで景色がめちゃくちゃいいので、そこでチームメイトと肉を焼いて食べたりしたのは、とてもいいリフレッシュになりました。あとはプライベートで最近はマリンスポーツのサップを始めました。

川上 サップ!体づくりの一環ですか?

坂本 いや、これはもう完全にリラックスのためです。サップは漕ぐだけで、あまり体を使わないので。

川上 それだけでもすごいと思いますけど……どこでやるんですか。

坂本 (小さい声で)あ、これは奥多摩で……すみません。

川上 いやいや、謝らないでください(笑)。僕も住んでいた頃思いましたけど、相模原ってどこにでも行きやすいんですよね。小田急線があるので、東京に出たり、横浜に出たりするのも簡単ですし、温泉でリフレッシュしたいなと思えばすぐ箱根にも行けますし……。それもみんな1時間くらいで行けちゃいますから。

坂本 そうなんですよね。普段は練習に集中しやすい落ち着いた環境で、暮らしやすい街だなと思います。

川上 メリハリがつけやすいんですよね。さきほどチームメンバーと飲みにいくこともあるとおっしゃっていましたが、どんなところに行くんですか。

坂本 相模原でよくお世話になっているのは、相模原市緑区にある「HKラウンジ」さんです。最大100人くらい入れるホールもあるので、飲み会だけでなく、チームの解散式などのイベントでお世話になることも。チームとしても関わりが深い場所です。飲み会は2カ月に一度くらいのペースで開催していますが、ラグビーはやっぱり飲み会で親睦を深めることが多いんです。
「チームソーシャル」というのですが、チームでの飲み会をリーダーが企画して、お互いの出身地のことや今までのキャリアのことを話し合うなかで仲を深めていくんですね。ラグビーには「ノーサイド」という精神があるので、練習中に喧嘩をしても……それが殴り合いのような激しいものであっても、終わったら「もう友達!」って握手するような文化なので、みんな仲がいいんです。

川上 それは素晴らしいですね。選手の皆さんはみんな結構お酒を飲まれるんですか。

坂本 飲めない選手もいますが、あの雰囲気が大切なのかなと思っています。僕は……ハイボールを飲んでいます(笑)。

地元メディアへの出演が「THIS FES」開催のきっかけに

坂本侑翼さん、川上洋平さん
―― ダイナボアーズにとってはホームとなる相模原ギオンフィールドですが、今回は[Alexandros]が初めての大型野外音楽フェス「THIS FES '24 in Sagamihara」を行うことが発表されています。出演アーティストには、[Alexandros]をはじめ、GLAY、マキシマム ザ ホルモン、MAN WITH A MISSION、WANIMAなど豪華な顔ぶれが並んでいます。

坂本 僕たちにとってはホームと言える場所での開催ということで、とても楽しみにしています。そもそもどんなきっかけで開催することになったのですか。

川上 あれはコロナ禍の少し前くらいだったかな? 相模原のシティプロモーションブックにメンバーが出演し、出身地である相模原を巡りつつインタビューを受ける……という機会をいただいたんです。それまではなかなか地元を振り返ることもなかったので、改めて自分が生まれ育った場所について考える良いきっかけになりました。
そのときに相模原のあちこちを回らせていただいたのですが、僕が知らない間に新しいものがいろいろと生まれ、新たに開発されている場所がたくさんあることに驚きました。「相模原はこれからの街なんだ。掘り下げる余地がまだたくさんあるんだ」と気がついたことは大きかったですね。そのとき、自分も何か役に立てることがあればいいな、なんてことを漠然と思いました。
そのときかな、確か市役所の方が「一緒にフェスをやりましょうよ!3万人くらい呼んじゃいましょうよ!」みたいなことをおっしゃってくださったんです。ただその瞬間は、「いやいやいや、できないでしょ。そんな簡単に……」って思っちゃったんですけど、それでもその言葉がその後もずっと頭の中に残っていて。それでだんだん、咄嗟に「できない」と思ってしまうのも、これ相模原市民のよくないところじゃないかと思い出してきて……(笑)。

坂本 そうなんですか?

川上 相模原って、これは僕の主観的なところもありますが、ちょっと夢を抱きにくい場所かなと思うこともあるんです。さっきもお話ししましたが、東京にも箱根にもすぐに行ける利便性があって、暮らしに困らないお店や施設もあって……それでそこそこ満たされちゃうというか、小さな満足で終わっちゃうところもあるんじゃないかと思っていて。特に僕が子どもの頃は、相模原には有名な観光地もないし、目立った名産もないし、地元出身の有名人もあまりいない……と思い込んでいたので、「夢を目指しにくい場所」というより、そもそも「夢を持ちにくい場所」という気がしていたんですね。

坂本 なるほど。

川上 でも、本当はまだまだこれからの場所だったんだっていうのは、その企画であちこち巡った時にも感じましたし、その後、「今知られているものが少ないなら、これから作っていいんだ」という気持ちに変わっていきました。だから今回「THIS FES」というフェスを相模原で開催することで、自分で言いますけど「相模原出身の、こんなカッコいいバンドもあるんだ!」とか、「僕たちも夢を持っていいんだ!」みたいなことを子どもたちや若い人たちが感じててくれたらいいなと思っています。同時に親御さんたちには、「そんな夢を持った子どもたちを育てていいんだ」って思ってもらえたら嬉しいです。

坂本 すごくいいですね!

川上 そうなんです(笑)。そこにね、さらにカッコいいラグビーチームである「三菱重工相模原ダイナボアーズ」さんがいて、さらにカッコいい選手である坂本選手がいる……となれば、相模原はもっともっと盛り上がると思っています。坂本選手は相模原出身というわけではありませんが……。

坂本 いやもう、骨を埋める覚悟で頑張ります!

川上 いやいやいや(笑)。でも本当に、相模原をただのベッドタウンにしたくないという思いは強くあります。今回のフェスにはWANIMAというバンドも出てくれますけど、彼らは熊本出身なんです。九州というとまだまだ食も文化も福岡が強いんだけど、「オレたちは熊本を盛り上げようぜ!」ってことで、だからなんだろう、彼らを見て、僕たちも地元を愛していいんだ、地元を盛り上げていいいんだって思いましたし、絶対にできるはず、と思ったんです。

初めての音楽フェスはぜひ、「THIS FES」に来てください

川上洋平さん
―― 「THIS FES」の開催は10月26日(土)、27日(日)。坂本選手をはじめとした「三菱重工相模原ダイナボアーズ」のメンバーのみなさんは、まだプレシーズンの期間中ということになるのでしょうか。

坂本 そうですね。練習試合は始まっていますが、その合間を縫ってぜひ「THIS FES」にはお伺いしたいと思っています。ただ実は僕、「音楽フェス」というものが生まれて初めてで……。

川上 本当ですか。それならますます、初のフェスは「THIS FES」にしていただきたいです。それまではもう、他のフェスは見ないでもらって(笑)。

坂本 はい(笑)。今は準備期間かと思いますが、準備はやっぱり大変ですよね?

川上 はい、大変です。僕たちバンドメンバーは主に楽曲のことや演出のことに集中させてもらっていますが、マネージャーや事務所のスタッフは、頻繁に事務所がある下北沢と相模原を行ったり来たりして……。
相模原でのフェスの開催は、全国からお客さんがきてくれると思うと嬉しいですし、さらに僕たち以外のバンドマンたちが相模原に来てくれることも嬉しくて。相模原って、みんなが来たことがあるとしてもせいぜい相模大野の相模女子大学グリーンホール(相模原市文化会館)くらいじゃないかな?その先まで来た人はまだ少ないと思うので、これを機会にぜひたくさんの人に「相模原ってこういう場所なんだ」というのを知ってほしいと思っています。そして、楽しんだ後にはぜひみなさんに発信していただいて、魅力を広めてもらえたら、さらにその先の可能性が広がっていくのではと思っています。だからこそ我々は、しっかりウェルカムできる体制を整えなければいけないんですが……何しろ初めてのことなので。

坂本 ラグビーの倍以上の集客ですしね!

川上 ありがとうございます(笑)。野外フェスは、天候の影響を受けやすいので、やっぱり開催までは不安がありますね。ただ、その不安を乗り越えて開催できればやっぱり感動するだろうし、野外の空間で聴く音楽は格別だと思います。

坂本 なかなかで想像がつかないのですが、楽しそうです。

川上 そうそう、いろんなバンドが出ているから、好きなバンドをがっつり見た後は、ご飯を食べに移動してもいいし、ちょっと疲れたなと思ったら休んだりもできるし。ワンマンのライブも楽しいと思いますが、フェスのゆるっとした雰囲気や開放感はやっぱり特別なものだと思います。

坂本 僕も相模原に住む一員として、相模原を盛り上げられたらいいなと思っています。

川上 心強いです。僕はさっき、相模原にはまだ誇れるもの、自慢できるものが少ないとお話してしまったのですが、もしかしたら、まだ気がついていないだけで、実はすごいものもいろいろあるのかもしれないんですよね。そういうのって、ずっと中にいる人より、外から来た人の方が気が付くことも多いかなって。
宮崎は、今でこそマンゴーが有名ですが、もともと宮崎の人はマンゴーを自分たちの特産品だとは思っていなかったそうなんです。それを、東国原さんが知事になって、外から見た目で「これを売ろう!」と思い立ち、うまく付加価値をつけて宣伝したからこそ、今は全国的に有名になっています。本当にそういうことってあると思うので、自分たちがフェスを開催することで、そんな「外の目」が新たな魅力を発見してくれたらいいなと思っています。

「ワタリドリ」はホームゲームのトライシーンで流しています

坂本侑翼さん、川上洋平さん

川上 坂本さんは、ふだん音楽を聞かれることはありますか。

坂本 はい。それこそ今日、川上さんにお会いしていますが、[Alexandros]の「ワタリドリ」はちょうど僕が高校生の頃にヒットしていたこともあって、もともとよく聞いていました。今はホームの試合の選手入場時やトライシーンで流させていただいていますが、この曲を自分のチームのホームの試合で聞けるようになるってすごいなって思っています。

川上 いやもう、本当に光栄です。嬉しい。「ワタリドリ」は最初は映画のタイアップ曲として世に出したものだったんです。そのときも聴いてもらえたと思うのですが、その後、ラグビーの五郎丸選手が出たビールのCMで流れたことで、よりたくさんの人に知っていただくようになりました。僕自身はあまりスポーツをやるタイプじゃないのですが、楽曲は不思議とスポーツ選手の方に「試合前に聞いていました」なんて言っていただくことが多くて。だからなんだろう、意外とスポーツと相性がいいというか、選手のみなさんの心に触れるところあるならすごく嬉しいですね。

坂本 僕も気分をアゲるのに聴かせてもらっています。「ワタリドリ」は小田急線相模大野駅の列車接近メロディにもなっていますよね(※2024年9月2日より)。

川上 そうなんです。ありがたいことだと思っています。「ワタリドリ」はこれ、実際に相模原のことを歌っているんですよ。バンドって、なかなか地域に根付くというカタチが難しいと思うのですが、こんなふうに自分たちの音楽で相模原に還元できることがあるのはやっぱり嬉しいですね。

※インタビュー後編では、坂本選手が所属する「三菱重工相模原ダイナボアーズ」についてや、ラグビーにかける思いについてお伺いしていきます。

(取材・文/小川聖子)
(撮影/renzo masuda)

[Alexandros]アーティスト写真

川上洋平
[Alexandros]の作詞・作曲を担当するVo&Gt。
国内のロックフェスティバルに数多く出演しヘッドライナーを務め、TVドラマや映画・CMなど多岐にわたる楽曲提供を行う。
その中でも『ワタリドリ』のMVはYouTube再生数1億7千万回を超え、映画「機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ」の主題歌となった『閃光』など幅広い層に支持されている。
ソロ活動ではラジオDJや映画コラム執筆、俳優業などバンド活動に留まらない多彩な才能にも注目が集まる。

坂本侑翼さん

坂本侑翼
1998年、千葉県君津市出身。5歳でラグビーを始め、流通経済大柏高校では2・3年時に“花園”(全国高校ラグビー大会)に出場。
流通経済大学では1年時から公式戦に出場し、4年時は主将を務めた。
2021年に三菱重工相模原ダイナボアーズへ加入し、以降を相模原市で過ごす。2022-23シーズンに公式戦初出場を果たすと、同シーズンはタックル回数で全選手最多(182回)を記録し大ブレイク。
ポジションはフランカー(FL)で主に7番を務め、次期日本代表の呼び声も高い「タックル王子」として知られる。

THISFES'24_第2弾告知画像

[Alexandros] presents THIS FES '24 in Sagamihara

公式サイト