INTERVIEW
お客様も一緒に盛り上がれる楽しい作品。ぜひ家族皆で観に来てください!
ミュージカル『17 AGAIN』は、全米で大ヒットしたコメディー映画をミュージカル化した注目作。日本での上演が世界初演となります。去る2020年11月30日に行われた製作発表では、主演を務める竹内涼真さんがミュージカルナンバーを初披露。翻訳・演出の谷賢一さん、ソニンさんやエハラマサヒロさんなどの主要キャストも集合してトークが繰り広げられました。今回、35歳と17歳の二役を演じる竹内さんに、初ミュージカルへの意気込みや役づくり、作品の魅力などを伺いました。
俳優 竹内涼真さん
―― 出演が決まったときのお気持ちを教えてください
本当に光栄なことに、初ミュージカルで主演を務めさせていただくことになりました。初めて話を聞いたときは、2021年の公演ということでまだ遠い先の感覚でした。2020年に入って、少しずつ歌やダンスのレッスンをやっていくうちに、だんだん「ミュージカルの主演をやるんだ」という実感が強くなっていきましたね。最初は自分の歌の未熟さやダンスの技量のなさに結構ショックを受けて、焦りました。製作発表でパフォーマンスを行うということで、まずはそこに間に合わせないと…と、必死に練習をしました。
―― 製作発表で劇中のナンバーを歌ってみて、いかがでしたか?
とにかく皆さんに熱量だけはお伝えしよう、と臨みました。映画やドラマの現場ではまったく緊張しないのですが、今回はものすごく緊張しました。ステージ上の広い空間をどう使おうかなということも考えましたね。途中で声がかすれてしまって悔しかったのですが、主人公マイクが再生していく気持ちが伝わるように一生懸命歌いました。これからたくさん稽古を重ねて、本番では自信を持って皆さんの前に立ちたいです。不安要素やはがゆい気持ちをクリアして、万全の状態でミュージカルの舞台に立てるように準備をしなきゃいけないという思いでいっぱいです。
ダンスも27歳になって初挑戦。最初はリズムを取ることさえ危うくて、振りも歌も必死でした。1曲目に披露した『#brandnewday』は、「すごくハッピーな歌なので、もっと楽しんだら?」と演出の谷さんに言われて、僕らが楽しんでやろうという意識を持つことができました。2曲目の『The Greatest Prize』もとても大変で、歌として聴かせながら主人公の気持ちもしっかり届けなければいけません。今はまだ、ステージに立ってお客様にどう伝えたら良いかが見えていない状態です。どういう風に歌い上げるか、身振り手振りはどうするかを作っていく前の段階なので、製作発表では気持ちだけでやり切りました。本番では、いい意味で違うものをお見せしたいです。
―― 歌もダンスもとてもパワフルでしたが、難しいところや得意だと思うところはありますか?
正直、歌もダンスも思うようにいかず難しいことだらけです。ダンスに関しては、自分でもショックを受けるくらい下手で(笑)。鏡を見て踊りながら、自分を嫌いになっていくくらいでした。製作発表までは時間がなかったので、立てなくなるくらいレッスンをした日もあります。自分が通用すると思えるところはほとんどないのですが、ひとつだけ言えるとしたら、内側から出る気迫や気持ちを表現することかなと思います。普段、カメラに向かって演技をしているように、気持ちを歌にもダンスにも乗せられるという自負はあります。どうしても最初は「セリフはセリフ、歌は歌」という感覚に捉われてしまったけれど、まずは一番根本的な「気持ちをのせて相手と会話をする」ということは、大切にしたいと思っていますあとはもう、イチから頑張らないと…。
(歌唱披露での声量は)ボイストレーニングの成果が出たのかもしれないですし、うまく歌いたいという気持ちを忘れて主人公の思いを大切に歌ったので、それが少しでも伝わっていたら嬉しいですね。僕、カラオケは得意なんですよ。でもボイストレーニングを初めて受けたときに何ひとつ通用しなかった! それは衝撃でしたし、大きな収穫でもありました。
―― 本作は世界初演ということですが、意気込みは?
世界初演とか、あんまり言わないでほしいなと思っています(笑)。公演を観に来てくださるお客様の中には、映画『17 again』のファンの方もいるかもしれない。本当に気を引き締めてやらないと怖いなと、気合が入ります。キャストの皆さんとの稽古が始まるまでに、自分の歌やダンスはできるだけ不安のない状態にして、少しでも早く「どうすればこの作品がおもしろくなるか」と考えるほうにシフトしたいですね。
ミュージカルが初めてということは関係なく、自分がやるからには絶対におもしろい作品にしなければいけないと思っています。映画やドラマの仕事のときと同じで、その気持ちはぶれないようにしたい。自分の中の妥協は細かくチェックして、捨てていかないと。製作発表でステージに立ってみてわかったのですが、テレビで自分を観てもらうときより、いろんなものが伝わってしまいますね。自分のよくないところや足りないところが明らかに出てしまう。それを自覚できたのはよかったと思います。これからの稽古で一歩一歩成長して本番を迎え、キャストやスタッフの皆さんと一丸となって最後まで駆け抜けたいです。
―― なぜ今、ミュージカルに挑戦しようと思ったのですか?
俳優という仕事を7年やってきて、たくさんのドラマや映画に出演させていただきましたが、自分の引き出しが多ければもっといろいろできるのになと思うことがあります。ドラマなどの現場で、舞台もやっている方とお会いすると、自分にない引き出しを持っている感じがしました。それで、舞台の「生」という緊張感と、客席にいる人たちに伝えるという表現の仕方を経験したいなと思ったんですね。ストレートプレイの舞台でもミュージカルでもどちらでもよかったのですが、今回はミュージカルをやらせていただけることになりました。
僕は今、お芝居をしているときが一番好きで、自分がこの仕事に向いているなと再確認しているところです。もっと表現の質や技術を磨いて、いろいろな国の方と一緒に仕事をしたいという思いもあります。その第一歩として、今回のミュージカル『17 AGAIN』は大切な挑戦。この初ミュージカルを通して、さらに自分の可能性を広げていけたらと思っています。終わってから自分がどんなふうに感じるかわからないですけど、2021年の挑戦として、本気でぶつかっていきます。全公演を乗り越えたあと、自分がどうなっているか楽しみです。
―― 作品の魅力を教えてください
普段の生活の中で忘れてしまっていることや、本当は恵まれているのに気づけなかったこと、そういう小さなことに主人公が徐々に気づいていき、家族との絆を取り戻すストーリーです。その中に親友(エハラマサヒロ)と繰り広げるコメディーシーンがあったり、芝居で伝える部分やショーとして見せる部分があったりと、とても楽しめる作品になっていくと思います。
僕自身は映画の『17 AGAIN』を観させていただいたとき、あっという間に時間が過ぎたんですね。主人公が挫折したり苦悩したりするシーンはもちろんあるんですけど、最初から最後まですごく前向きに突き抜けたという印象で、おもしろかった。今回のミュージカルでも、同じような感覚をお客様に味わってほしいです。会場一体となって盛り上がり、観終わったあとにお客様もライブ後のような心地よい疲れを感じる…そんな作品にしたいと思っています。
―― 竹内さんが演じるマイクは35歳から17歳に戻ってしまうという設定ですが、役づくりのプランは?
17歳に戻るというとても不思議な設定で、実際ではありえないようなことが起きる物語。その物語の中で「目的」を見失ってしまうと、役がぶれてしまいます。17歳に戻ったことで彼は何をしたくなったのか、何を家族のみんなに感じてほしいのかをぶれさせなければ、僕はこういう設定も成立すると思うんです。
17歳と35歳という二役ですが、見た目にもわかりやすく変化するので、お客様に楽しんでいただけるのでは。17歳はもちろん経験したことがある年齢なので、自分自身の経験と役の設定を取り入れて役づくりをしていくつもりです。35歳はまだ経験したことがありませんが、先輩たちのリアルな教科書は身の回りにたくさんあるので、そこから取り入れていけばいいかなと。年上の方の話や自分の父親の姿、それから娘のマギー役の(桜井)日奈子ちゃんが話していた反抗期のことも、僕の役にとってはすごく参考になります。もちろん原作の映画からも情報をもらいつつ、僕が演じることでまた新しい主人公像を作り出していけたらと思っています。
―― 妻役のソニンさんと親友役のエハラマサヒロさんにお会いしてどんな印象を持ちましたか?
ソニンさんはすごく気さくに話してくれる方ですね。実年齢は少し離れていますが、同い年の夫婦という役の関係をスムーズに築けるのではないかなと思います。初対面の会話でリズム感が合うと、お芝居のリズムも合いやすいと感じているのですが、そういう意味でも安心できます。素敵な作品に出演し、たくさんのミュージカルナンバーも歌ってきた方なので、『17 AGAIN』ではどういう歌い方や表現をされるのか楽しみですし、盗めるところは盗みたい。わからないことがあったら何でも聞こうと思います(笑)。経験豊富な方のアプローチを参考にしつつ、自分なりに試行錯誤していきます。
エハラさんとの共演も楽しみです。僕、意外と突拍子もないアドリブにも対応できるほうなので、エハラさんにはどんどん仕掛けていただいて(笑)、僕の新たな面を引き出してもらいたいですね。一生懸命リアクションします! ほかのキャストの皆さんとも製作発表の場でお会いできて会話も弾み、いいスタートを切れたかなと思います。5月の東京公演を皮切りに、一緒に地方4か所もを回らせていただくので、素敵な仲間に出会えて本当によかったです。
―― 最後に、お客様へのメッセージをお願いします
本番までに、キャスト・スタッフと共に素敵な作品を作り上げますので、劇場に足を運んでくださるとうれしいです。お客様も手拍子をして「イエイ!」と盛り上がれる作品です。僕らがチームワークを発揮してお客様を巻き込み、一緒に楽しめるようにこれから精一杯稽古します。ぜひ応援してください!