INTERVIEW
舞台『アルキメデスの大戦』は、コロナ禍で一度は中止となるものの、約2年の時を経て上演が決定。実力派キャスト&クリエイター陣が再結集することとなった。
主人公の天才数学者・櫂直を演じるのは、抜群の存在感と確かな演技力で観客を魅了する鈴木拡樹。櫂を補佐する海軍少尉・田中正二郎役に、舞台作品を中心に人気と注目を集める実力派の宮崎秋人。久々の共演を心待ちにしていたというふたりに、作品や役への思いをお聞きした。
俳優 宮崎秋人さん(左)、俳優 鈴木拡樹さん(右)
── 2年越しに上演が決まったことに対する思いをお聞かせください。
鈴木拡樹(以下、鈴木) もともと2020年6月公演の予定でしたが、コロナの影響で稽古すらできず、未消化のまま終わってしまいました。いまこうしてほぼ同じキャストが揃い、リベンジできることが感慨深いです。全公演完遂して、コロナ禍の中のネガティブな感情を払拭できるような作品にしたいです。
宮崎秋人(以下、宮崎) やっとこの公演が打てるうれしさもあり、2年前には考えられなかった世界情勢によって作品の感じ方が変わってしまったという複雑な思いもあります。でも、一昨年では持ち得なかった使命感や責任感を強く感じながら、今年10月の公演に挑むことができるなと思っています。
── 原作や脚本を読んで感じた、作品の魅力を教えてください。
鈴木 時代背景的には史実に基づいていますが、日本国内の造船に対する賛否で争うという作品は他にはないと思います。この頃の時代に詳しい方もそうでない方も、楽しんでいただけるのではないでしょうか。
宮崎 他の戦争映画などに触れてきた中で、戦艦大和というのは象徴的な存在であったりみんなの希望であったり、そういう面もあると捉えていました。本作はそれを否定する立場の人物も出てくる作品なので、とても興味深く感じながら原作や台本を読み、映画も観ました。角度が変われば意見も変わり、争う両者それぞれの正義があるわけです。もともと自分が持っている考え方を、考え直させてくれる作品だと感じました。
── ご自身の役についてどのように感じましたか?
鈴木 台本を読んでみてひとつ言えるのは、莫大な量のセリフがあるということです(笑)。映画作品を観たので想像はできていたとはいえ、ちょっと度肝を抜かれました。会話劇の作品の中で、僕の演じる櫂直は淡々と喋る数学者。ほぼ初めてに近いタイプの役ですし、自分と真逆なので、それを楽しめるレベルまでいけたらいいなと思います。僕自身は数学が苦手です!この作品をやることになった2年前、「数学が楽しくなる」みたいな本を読んでみたけど、途中で断念しました(笑)。
宮崎 会話で紡がれていく作品なので、いろんな人と会話を楽しめたらいいなと思います。田中正二郎という男が、櫂と出会うことによってどんどん変わっていく様は、台本を読んでいるだけでもワクワクします。最後は本当に力を合わせて、大きなことを成し遂げようとしている。その成長をひとつの作品の中でしっかり見せられたらいいですね。自分というものをあまり表に出す男ではないのですが、垣間見える部分もある。そのバランスをうまく表現していけたらと思います。
── 舞台版ならではのおもしろさは、どんなところでしょうか?
宮崎 心情を吐露するシーンがわりとどの役にもあり、そういうのは舞台ならではだなと思いました。あとはやっぱり、演出の日澤雄介さんが、どんな演出をされるのか、がかなり大きいかなと。このお話をどうやって舞台でやるんだろうというのは、役者にとってもお客様にとっても楽しみな点だと思います。
鈴木 時系列が入れ替わっているところもあり、なんとなく未来を予感させながらお客様にお話を伝えていくスタイルで、そこが原作とは違うところ。おもしろい見せ方だと思います。それから、個人的に好きなシーンが結構入っているんですよ。櫂がアメリカに旅立とうとしてお嬢様(福本莉子演じる尾崎財閥令嬢)と話すシーンや、櫂には珍しく感情が数学を超える瞬間とか。そういう部分の演出がどうなるか楽しみです。
──久しぶりの共演で、お互いに変化や成長を感じる部分はありますか?
鈴木 秋人くんは、しばらく会わない間にたくさんの作品で経験を重ねていて、いろんなものを吸収しているんだろうなと。だから久しぶりに一緒にお芝居するのが楽しみでしかたない!稽古に入ったら、前回共演したときとはだいぶ別人に見えるんだろうなあ。「誰?」って突っ込むかも(笑)。
宮崎 成長してればいいんですけど(笑)。20代前半の頃に拡樹くんと共演したときは、常に支えてもらっていました。
鈴木 しっかりしてましたよ。
宮崎 いやいやいや…。そういえば初めて座長を務めた作品では、ふらふらでカーテンコールに立てなくて、拡樹くんに肩を担がれて舞台に上がっていたことを思い出します。いまこうして、また拡樹くんの横に立てるとは…“思い強め”です!
── お互いの他に、共演を楽しみにしているキャストはいますか?
宮崎 近藤頌利です。事務所の後輩で面識はあるんですが、共演は初めてなんですよ。決まったときに、「ようやく共演できてうれしいです。頑張ります」ってメッセージがきて。僕は「がっかりさせないように頑張ります」と返しました。カッコいいところを見せられたらなと。
鈴木 熱い男がふたり(笑)。頌利くんとは舞台『刀剣乱舞』で共演したことがあって、熱い男、ハートがすごいなという印象。また一緒にできるのが楽しみです。あとは、神保悟志さん。神保さんのオーラに負けないように頑張りたいですね。
──「自分は〇〇の天才!」と思うことと、これまでに出会った中で天才だと思った人を教えてください。
鈴木 う〜ん、僕は超凡人だからなあ。
宮崎 んなことないでしょ!僕は飲み屋さんで居合わせた人となら、従業員さんだろうがお客さんだろうが誰とでも仲よくなれます。一期一会を楽しむことが得意なので、またそういう場を気兼ねなく楽しめるときがくるといいな。
鈴木 ある意味、天才の逆を行くパターンかもしれませんが。パソコンでもスマホでも、アプリの操作をしていると高確率でおかしなことになります。よくわからないエラーメッセージが出たり。謎の画面に遭遇する天才で、アナログ人間です(笑)。
宮崎 拡樹くんがスマホを触っているところなんて、片手で数えるくらいしか見たことないですね。
鈴木 うん、ほぼ時計代わり。天才だと思うのは、僕たち共通の知っている人だと、西田シャトナーさんかな。
宮崎 あ〜、天才ですね!
鈴木 感性の天才というか、発言が天才というか。とにかくすごいなと思います。
──最後に、あらためて今作にかける思いをひとことお願いします。
鈴木 舞台出演が半年空いてしまったことがあり、久々に舞台に立ったとき、あらためて舞台っていいなと実感しました。お客様が入ってくださることや、演劇ができることのありがたみが身にしみました。コロナの影響で一回も上演できずに全公演が中止になってしまったのは、僕の出演作品の中では『アルキメデスの大戦』だけなので、今回リベンジできるのは本当にうれしいです。
宮崎 僕も同じです。この2年でいろんな方たちと出会い、ずっとご一緒したかった方々とも共演できたので、2年前にはできなかった田中正二郎を演じられるのではないかと期待しています。そういう意味では、このタイミングで今作に臨むことができてよかったのかも。久しぶりに拡樹くんと共演できるのも特別な思いがあるので、頑張りたいと思います!
鈴木拡樹
<スタッフ>
ヘアメイク:AKI/スタイリスト:中村美保
<衣装協力>
◆シャツ amok/Karaln ¥26,400-
問:Karaln/03-6231-9091
◆パンツ Iroquois/Karaln ¥27,500-
問:Karaln/03-6231-9091
◆靴 ASICS RUNWALK ¥26,400-
問:アシックスジャパン株式会社
お客様相談室/0120-068-806
宮崎秋人
<スタッフ>
ヘアメイク:野中真紀子(é clat)/
スタイリスト:青木紀一郎