俳優 三浦涼介さん
──2021年に初演されたミュージカル『フィスト・オブ・ノーススター ~北斗の拳~』が早くも再演されます。あの『北斗の拳』をミュージカルに!? と原作ファンもミュージカルファンも驚かせ、しかも実際に上演されると非常に評判が良く、雑誌『ミュージカル』の<2021年ミュージカル・ベストテン>総合第4位にランクインする評価も得た作品です。三浦さんは再演からの参加ですが、初演はご覧になっていますか。
はい、運よく拝見できました。その時はまだ自分が関わることになるとは思ってもいなかったのですが、過去にご一緒したことのある石丸さち子さんの演出だということと(ミュージカル『マタ・ハリ』、'21年)、キャストにも知っている俳優さんが多かったので、気になっていたんです。実は僕、知り合いの役者が出ている作品って、あえて観ないことも多いんです。普段の顔を知っている分照れくさかったり、プライベートの顔が頭をよぎって集中できなかったりしますので。でも『フィスト・オブ・ノーススター』は没頭して観たし、すごく感動した。皆さんのお芝居にも歌唱力にもですが、何といっても全身を使ったアクションに心を揺さぶられました。とんでもない努力を重ね、お稽古をしてきたんだと思う。そして一公演一公演に命をかけていることがすごく伝わってきて、そこに感動しました。本当に素晴らしかったです。
──たしかに、とてもエネルギーを感じる舞台でした。
原作ありきのものを、映像ではなく舞台化するってすごく難しいと思うんです。映像では見せられることも舞台ではできなかったりする。そういう難しいところにスタッフもキャストも挑戦していました。この作品は、キャラクターたちが対面で、生で、アクションをしていた。もちろん映像で様々な効果を使って表現する素晴らしさもありますが、『フィスト・オブ・ノーススター』は目の前で起こっているリアリティが、感動を生んでいたと思います。
──ちなみにこの非常に有名な原作、三浦さんは子どもの頃に触れていますか?
漫画をアタマから最後まできちんと読んでいるようなファンではありませんが、小さい頃から『北斗の拳』という漫画は有名でしたし、“近くにあった”印象です。原作というよりアニメやゲームとかで少しずつ触れていて知っていた、という感じ。今回、自分が出演することをきっかけに、改めて作品の大元やその歴史に踏み出せるなと、ワクワクしています。
──私も、原作は読んではいないけれど、キャラクター名や絵柄や印象的なフレーズは知っていた……という人間です。読んでいない人にもそれだけ浸透している『北斗の拳』ってすごいなと改めて思うと同時に、このミュージカルでストーリーを知り、想像以上にシリアスな話なんだなと思いました。
それは僕も感じました。人間模様がとても深く描かれている。何より、“生き死に”を描きながらも、そのことよりもそこにある“愛”や“義”にフォーカスを当てているところが良いですよね。相手に対しての義、自分の生き方に対しての義……。“人間的感覚”を大切にした物語です。
──そんな印象的だった作品の再演に、出演オファーがあった時はどう思いましたか?
「えっ、大丈夫?」と思いました(笑)。やると知って観に行っていたらまた感覚も違ったかもしれませんが、完全に観る側として観劇し、そのエネルギーに圧倒された作品でしたので。「あれをやれるのか?」という思いはありましたね。ただ、やると決まったら「大変そうだな」という思いから作品に入っていくのは自分にとっても作品にとっても良くありませんので、楽しみなところを考えました。それはやはり演出の石丸さんや、良く知っている共演者の皆さんの存在、それから、なかなか東京以外の場所での公演にハードルが高くなってしまっているこのご時世で、今回は福岡公演があるということ。作品自体への興味の上に、そういった楽しみを重ね、自分を奮い立たせました(笑)。
──「あれをやれるのか?」というのは、体力的に……でしょうか?
今回はアクションを例に挙げましたが、実はこの作品に限らず、どのお仕事でも最初は「自分にできるのかな」という思いを抱きます。やっぱり僕の年代の、僕のような役者は山ほどいますから。“替わりはいくらでもいる”というのは、常に不安要素なんです。その上で「僕がやるからにはどうしたらいいのか」「どうしたら自分が楽しめるか」という不安は付きまといます。
──とても意外です。三浦さんの個性は唯一無二ですし、我が道を進んでいるイメージです。
個性的と言われることもあるのですが、僕自身が個性的な俳優になりたいと思って生きてきたところではないところでの評価だったりするので……。僕は役者として役に対して真摯に向き合いたいと思っていますが、だからこそなのか、客観的に自分自身を見ることがなかなかできないんですよ。たまに本当に役にのめり込みすぎて、自分を見失ってしまうこともありますので、観た方が個性的だと思ってくださるのは僕じゃなくてその役柄かもしれない。僕自身はビビリだし、この仕事を何年やっていても「どうしよう、どうしよう」と常に悩んでいる。確かに「緊張しなさそう」とか、何なら「怖そう」と言われることも多いのですが(笑)、僕はどの作品でも、どの役者さんより一番緊張している自信があるくらいの緊張しいです。それでもこの仕事をやめられないのは、それはやっぱりお客さまを前に生でパフォーマンスできる感動、そして素晴らしいキャストやスタッフとの出会いがあるから。それに尽きるんだなと思います。
──三浦さんの俳優という仕事との向き合い方も垣間見れた気がします。せっかくですのでもう少し三浦さんのお仕事のスタンスをお伺いできれば。『フィスト・オブ・ノーススター』のお稽古はまだ先だと思いますが、今回に限らず、三浦さんは役というものをどのようなところから作っていくのですか? 俳優さんによって、ひたすら台本を読み込む方や、周辺資料も深く調べる方、身一つで稽古場に入って現場でのセッションで作り上げていく方などいろいろいらっしゃるかと思いますが。
調べられることは調べ、全部の要素は手に入れておきたいと思っています。歴史があるものは可能な限りの資料に目を通したいし、実際に起きた出来事をモチーフにしていたら、その舞台となった場所に行ってその空気を吸ったり、やれることはひと通りやりたい。結果的に「今回は必要なかったね」というものもあるかもしれないけれど、直接的には使わなかったとしても、手に取ったもの、目にしたもの、聞いたこと……何ひとつ僕にとって無駄になったものはありません。ただ、10代、20代の頃はそうして考えて、どこか頭でっかちになって「こうじゃないとダメなんだ」という決めつけや、カッコつけをしていたこともありました。でも30代に入って、相手と感じあえたことで広がっていくものがこんなにあるのか、と知れる機会が増えてきています。それは自分が経験を重ねてきたからそう感じ取れるようになったというよりは、それだけありがたい出会いをたくさんさせてもらったんだと思います。演出家の方に教えてもらったり、対峙する俳優さんから心のこもった台詞や歌を受け取って、自分の感覚が広がったり。だから、役を作るにあたりたくさんの情報は調べたい、でも一方でなるべく稽古場にはナチュラルにフラットに行けたら、と思うようにもなってきています。
──演じるレイという役の魅力は、現時点ではどういうところにあると捉えていますか。
レイに関して僕が興味を持っているのは、“人のために生きて、人のために死ねる”という感覚です。まさに先ほどのお話に繋がるのですが、今の僕は“自分の芝居をどうするか”ということではなく、“相手の芝居を受けて自分がどうできるか”“相手の役者さんが気持ち良く芝居するために、僕はどう返したらいいのか”というところを考えて演技をしたい、そう生きていきたいと考えています。レイの、人のために生きる、人のために戦うという生き方は、僕が目指したい生き方とマッチしていて、そんなレイを演じられることが楽しみで仕方ありません。
──お話を聞いて、三浦さんのレイがいっそう楽しみになってきました!
ありがとうございます。レイの愛や義をスマートに見せたいと思っています。そういう大きなものをスマートに見せることが、石丸(さち子)さんとだったら出来ると思うので。やっぱり、死を舞台上で見せることほど難しいものはないと思うんです。生きるところを丁寧に描いても、死ぬシーンで少し冷めてしまう瞬間とか、ありませんか? 死に様を美しく飾るのではなく、精いっぱい生きた結果、死に様が美しく見えたらいいなと思います。……そうですね、レイは「美」という文字を常に意識しながら演じたいです。
──そして、レイは南斗六聖拳の使い手ですので……三浦さんが感動したアクションという面で言うと、フライングもありますね!
数が多いわけではないのですが、過去にもワイヤーアクションはやったことがあります。ただ、そこに気を取られすぎて何かがおろそかになってしまう瞬間がある。もちろん事故が起きてしまってはいけませんので緊張感を持つことは大事ですし、怪我をしないようにしなければいけません。でも「いざとなったら自分の身は自分で守る」という余裕を持てるくらいにお稽古を頑張って、芝居に集中できるようにしていきたいです。
──最後に改めて、本作への意気込みをお願いします。
原作ありきの作品は、原作のファンがいらっしゃいます。ファンが「絶対ここは」というポイントは失わず、あとは本当に目の前でキャラクターたちが生きているみたいだと思ってもらえたら最高だなと思います。僕らも演じる役者のエゴではなくきちんと作品に対し愛を持って演じたい。そして純粋に作品を楽しんでほしいという愛情がお客さまに伝わったらいいなと思います。ぜひ観にいらしてください。
(取材・文:平野祥恵)
2021年冬に初のミュージカル化で注目を浴びた『フィスト・オブ・ノーススター〜北斗の拳〜』が、2022年9月25日より、Bunkamuraオーチャードホールにて再び上演される。公演に先駆け製作発表会見が行なわれ、演出の石丸さち子を筆頭に、ケンシロウ役の大貫勇輔、ユリア役の平原綾香とMay’nなど初演版からの続投キャストの他、新キャストもあわせて総勢13名が登場。
まずは各キャストによる歌唱披露の場が設けられた。大貫は「心の叫び」を熱唱し、迫力ある回し蹴りまで披露。平原とMay’nの「氷と炎」、トキ役の小西遼生とレイ役の三浦涼介の「願いを託して」、ジュウザ役の伊礼彼方と上川一哉の「ヴィーナスの森」、シン役の植原卓也と上田堪大の「ただ愛のために」、ラオウ役の福井晶一と永井大の「揺るぎなき信念」など、全12曲のナンバーで聴衆を魅了した。
── 初演と再演ではどんな点に変化がありますか?
石丸さち子(演出) よりシンプルに、よりダイナミックになりました。初演の本番中に私が感じていたこと、俳優たちと「次があったらこういう風にしたいね」と話していたこと、作家の高橋亜子さんと話し合ったことを少しずつ積み立ててきました。例えば伊礼彼方さんと上川一哉さんが演じるジュウザは、前回よりほんの少しセリフが増えただけで、彼の人生の深さがより伝わるようになっています。そして大きく変化したのは、三浦涼介さん演じるレイのシーンが、新たにひとつ加わったこと。愛する者を失い、人生を見失っていたレイとケンシロウが出会うことによって、苦しい時代を生きる男たちの生き様がより深く描かれるのではないだろうか…と。そのような変化がたくさん詰まっていますので、ぜひ楽しみにしていただきたいです!
── 稽古の進行状況などはいかがでしょうか?
石丸 今も世の中は厳しい状況が続いていますし、中国公演のために準備を重ねてきましたが残念ながら公演は叶いませんでした。でも私たちの心はまっすぐ東京公演と福岡公演に向いています!フランク・ワイルドホーンのダイナミックな音楽と、高橋亜子さんの繊細なセリフが盛り込まれたこの作品は、潔さや清々しさ、勇ましさが魅力になっていきます。1幕ラストにケンシロウが救世主として覚悟を決めるシーンがあるのですが、今回は大貫勇輔さん自身が振付をして、それに合わせて音楽も新しく用意しました。そのシーンを稽古したときに、私は本当に落涙してしまい、スタンディングオベーションをしたいくらいだった。長い時間で彼が培ってきた身体、演じてきたケンシロウ役への理解、こんな時代にリーダーになるという重責を背負っていく決意…すべてが振付の中に入っているんです。他にも、ラオウとトキの最後の闘いも前回よりぐっとブラッシュアップされて素敵になっています。初演を愛してくださった皆様にも、初めてのお客様にも、ぜひ劇場にお越しいただきたいと思っています。
── キャストの皆様、稽古場での様子や、この作品を通して伝えたいことをお聞かせください。
大貫勇輔(ケンシロウ役) 初演から1年も経たずに再演ができることを大変嬉しく思っています。たくさんの方に支えられて今があるので、全力で挑みます。稽古場は初演から続投の人もいて、新しいキャストや新しい演出も加わり、本当にバージョンアップしたものが着々とできあがっているなという実感が募っています。ケンシロウが最初の方で「地獄のようなこの時代に一体何ができるんだ」というセリフを言うんですね。それが自分の中に突き刺さっていて、僕がケンシロウをやることによって何かを生み出さなきゃいけないと、あらためて感じました。たくさんの先輩方にいろんなことを教えてもらいながら、日々気づきを得ながら、この時代にこの作品をやる責任をしっかり全うしなければと思っています。
平原綾香(ユリア役/Wキャスト) この作品にまた出演できることが嬉しくて、お稽古場に行くたびに皆さんのパワーをいただいています。初演のときは、私にとって一番辛いときに命をかけて没頭した作品であり、この作品が私の胸を何度も引き裂き、何度も抱きしめてくれました。この経験は一生忘れることができません。『北斗の拳』が素晴らしい作品であることを、このミュージカルを通して知ることができました。だからこそ、ユリアという役を通して、何ができるかなと…。できればケンシロウがやりたかった(笑)。ケンシロウは何かに打ち勝って成長していく役なので、それがとても羨ましかったんです。ユリアはある意味、最初から完成されている女性で、常に待ち続けて、月のように太陽のように見守っている役。難しくはありますが、一生懸命お稽古に取り組んでいますので、楽しみにしていただければと思います。
May'n(ユリア役/Wキャスト) 「闘い」が大きなテーマの作品で、すごくエネルギッシュで集中していて、パワーみなぎる稽古場です。いったん稽古を離れると皆さん気さくでとても楽しい雰囲気です。ユリアとラオウのシーンの稽古では、普段はこんなに柔らかくて爽やかな永井さんが、目を合わせた瞬間に思わず後ずさりしてしまうくらい迫力がすごくて。衣装をまとってメイクをしたラオウと、舞台上で対峙するのが楽しみだなとワクワクしています。この作品はというと…。毎日生きていく中で私たちは選択の連続だと思うんですね。いろいろなものに直面して、自分の意志で選んで前へ進んでいく中、これでよかったのかなと迷いながら過ごしている。でもとにかく、自分自身の心のときめきとか、大切な人やものを信じて毎日を過ごしていきたいと思う。そんなことを考えさせてくれる作品です。ユリアはケンシロウを信じて生きる強い女性なので、私自身もそういう強い気持ちを大事に演じたいです。
小西遼生(トキ役) 稽古に初めて参加したときは、ちょっと怖かったです(笑)。石丸さんが先ほどお話されていた雰囲気、あのエネルギーや心の強さがキャストやスタッフ全員に伝染していて。続投メンバーの熱量がハンパなかったです。高校1年生のとき、バスケ部に入ろうかなと体育館の扉を開けたものの、あまりの怒号と熱量に扉をそっと閉めて…バスケ部には入りませんでした。そのときのことを思い出してしまいました。1週間くらいは様子を見ながら、少しずつ稽古場に馴染んでいきました!トキという役は秘めた思いが強い人なので、そんな僕でもできるんじゃないかなと。現場に流れている空気は、数公演分だけのエネルギーではありません。中国公演はなくなってしまいましたが、大貫くんはことあるごとに「世界」を口にして本気で挑んでいるし、石丸さんは「この作品はどの国に行っても育てられるようなエネルギーを秘めている」と確信している。僕自身もまずはそのエネルギーを、今のこの世の中に届けたいです。
伊礼彼方(ジュウザ役/Wキャスト) 本が非常にブラッシュアップされて、よりわかりやすく、おもしろくなっています。初演はゼロから作るおもしろさがありましたけれど、再演というのは続投組の熱意が込められていますから、新しいメンバーはそこについていくのが最初は大変だっただろうと。そして、石丸さんがおっしゃっていたレイの新しいシーンが、すごく良くなっているんですよ。よかったねぇ、三浦くん。三浦くんが素敵だから、うらやましくて嫉妬しちゃう!初演(伊礼はジュウザ役とレイ役で役替わり出演)のとき、なぜあのシーンを僕にやらせてくれなかったのか…(笑)。そんな風にブラッシュアップされていますので、ぜひ劇場で観ていただけたらと思います。そして、暗い男たちばっかりの話ですから(笑)、ジュウザが皆さんの素敵な箸休めになって、楽しんでいただけたらいいなと思います!
上川一哉(ジュウザ役/Wキャスト) 僕も初めて稽古に参加させていただいたときは、皆さんの熱量に圧倒されたのひとことでした。それだけ皆さん、作品にかける思いや愛があるんだなと、作品の中にたくさんのメッセージが詰まっているんだなと感じることができました。たくさんの先輩方の背中を見ながら、ひとつひとつ学んでいき、自分をさらけ出してチャレンジしていきたいです。観ていただいた方には、この作品が何かのきっかけになったり、明日を生きる力になってくれたらいいなと思います。精一杯務めさせていただきます。
植原卓也(シン役/Wキャスト) 僕は初演に続いての出演となりますが、今回の稽古のスタートラインというか、基準値みたいなものが結構高いところから始まっているなと感じました。初めて参加される方々にとっては、本当にハードな稽古の環境の中で闘われているんじゃないかと思います。その姿を見て僕自身もまた気合を入れ直して、シンと向き合って闘っていきたいなと思っています。劇中ではシンを含め数々の男たちが、ユリアへの愛のために闘って日々生きているわけですけども、観てくださった皆様にも、「大切な人や好きなもの、ハマっていることのために頑張れているんだな」とか、「一歩一歩進んでいきたいな」とか、そういう明日への活力のようなものを、少しでもお届けできたらと思っています。
上田堪大(シン役/Wキャスト) 小西さん、上川さん、僕も初演のときまったく同じ気持ちでした。今だから言えますが、マジで怖くて、稽古に行くときも足が重くて…。苦しかったりもしたんですが、稽古場で石丸さんや先輩方の愛に包まれ、本番でお客様を通じて育んでいった作品だなと、今日の話を聞いていて思い出しました。そういうものを経て、今、自分はここにいるんだなと。初演の頃を思い出したり、こういう風に変わっていけたんだというのを再確認したりしています。Wキャストの植原くんと僕はそろって続投なので、相変わらず仲良し全開です(笑)。シンのユリアに対する愛や、こんな世の中でも生きていくという強い気持ちが皆様に届けばいいなと思います。
清水美依紗(マミヤ役) 私も最初の稽古で圧倒されてしまって、小西さんと「やばいね!」と共感し合いました。私にとって初ミュージカルであり、稽古場でどういればいいのか、どういう風に役作りをしたらいいのかわからない状態でした。演出の石丸さんをはじめ、豪華なキャストの方々にすごく支えられて、毎日学びながら、もがきながら、稽古に励んでいます。マミヤは自分とはまったく違う女性で、リーダーとして村人を守っていく強い女戦士です。演じたい役だったので嬉しいのですが、いざやるとなったらたくさん壁にぶつかり、今も悩む日々です。この作品は、いろんな愛の形を知れる作品だなと感じているので、皆様にもそれが伝わるといいなと思います。
三浦涼介(レイ役) 僕は稽古に入るのが少し遅れたのですが、その間に毎日稽古場の映像を撮っていただいて観ていました。その時点から、あぁ、この中に入っていくのかとドキドキワクワクしていました。そして、(前回レイを演じた)伊礼さんとお会いするのがすごく楽しみでした!お会いしてみたら、暑苦しい方で(笑)、とんでもないテンションの持ち主。本当にお会いできて嬉しかったです。また、大貫さんとはプライベートでもとても仲良くさせていただいていて、こうして一緒にお芝居ができることを嬉しく思っています。常に愛を与えてくれる石丸さち子さんの演出のもと、ひとつひとつ、一瞬一瞬を大切にお稽古をして、お客様の前に立つのを楽しみにしていますので、よろしくお願いします。
永井大(ラオウ役/Wキャスト) 本当に、顔合わせの段階から熱量がすごかったですね。僕はミュージカルが初めてなので、歌に恐怖というか不安を抱えながら臨みました。お腹が痛くなる日が続いて…。少しずつ、本番に向けて光が見えてきたなというところまで、皆さんが導いてくださいました。大貫さんはみんなを引っ張ってくれて、ケンシロウとしてどんと構えてくれるので、本当に頼りがいがある人です。ラオウが闘うシーンで自分はまだ体が動くなと思っていたのですが、大貫さんの動きを見ると本当に圧巻。すごい体力と運動能力なんです。自分の出番がないときに大貫さんの動きを見ているだけで、刺激や勉強になっています。稽古場には全員が目標に向かって突き進んでいく姿があり、それをさらに引き上げてくれる石丸さんのパワーもすごく感じます。自分の道を貫き、乱暴に突き進みながらも、最後の最後には愛や哀しみに気づく…そんなラオウの見せ場もたくさんあると思いますので楽しみにしていてください。
福井晶一(ラオウ役/Wキャスト) 初演を超えなければいけないという思いがありますし、稽古場の熱量は初演以上にすごいので、僕も引っ張ってもらっています。ただ初演からあまり期間が経っていないので、自分の中にセリフとかタイミングとかがすり込まれていて、新しくなったものを自分の中に落とし込む作業が大変だなと感じています。Wキャストの永井さんは本当にすばらしい身体能力と吸収力を持ち、初ミュージカルとは思えないほど堂々とした方。一緒に“ラオウイズム”を追求して、この作品に挑めることがすごく幸せです。また、中国人ダンサーの方たちが加わり、すばらしい身体能力で表現してくれるので、そこも見どころだと思います。ラオウとしては、ここにいる男ども一人ひとりをぶっ倒していくわけですけど、相手を本気にさせることが僕の使命だと思っています。ケンシロウが愛をつかみ、そして目覚めていく過程において、ラオウは本当に重要な存在なので、引き続き突き詰めていきたいと思います。
── 2022年秋に予定されていた中国公演が中止になってしまったことへの思いや、あらためて決意を教えてください。
大貫 本当に残念な気持ちをみんなで共有しましたが、代わりに今回の公演を中国で配信できることになりました。中国の方達がそれを観て何かを感じてくれて、いつの日か中国やヨーロッパ…世界の国々でできたらいいなという思いを強く持ちながら稽古をしています。とにかく今は、一回一回の公演で奇跡を起こせるように、それを皆様に観てもらえるように、日々全力で取り組んでいます。キャスト、スタッフ一丸となって、東京公演と福岡公演を大成功させたいです!
歌唱披露〈スペシャルバージョン〉
ダイジェスト映像