INTERVIEW
観終わった時にとても幸せな気持ちになれる作品。
偉大な先輩方と一緒に、皆さんに愛を届けます!
ミュージカルは、南仏のナイトクラブを舞台に、ゲイカップルの夫婦愛とその一人息子への愛情を巡って巻き起こる珍騒動を通して“愛”の尊さ、温かさをハートフルに描いた作品。日本でも1985年の初演以来、30年以上も愛され続けています。これまでの公演でも“最高の夫婦”としてコンビを組んできた鹿賀丈史&市村正親をはじめ、魅力的な俳優陣が集結。大いに笑えて心揺さぶられる名作の上演に、高い期待が寄せられています。
今回、ジョルジュの息子ジャン・ミッシェル役に抜擢された内海啓貴さんに、意気込みや作品の魅力をお聞きしました。
俳優 内海啓貴さん
── 出演が決まった時のお気持ちを教えてください
『ラ・カージュ・オ・フォール』という歴史ある作品に、鹿賀丈史さん・市村正親さんという素晴らしい大先輩と共演させて頂けることが嬉しくて夢のようでした。嬉しい気持ちとともに大変緊張もしました。
その後、素敵な曲に惹かれて、どんな作品なんだろうと思って映像を観たら、とても華やかで魅力的な世界でした。そして、日生劇場の舞台に立つのは初めてですし、フレッシュに、僕にしかない色を出していけたらいいなと思っています。
── この作品が長く愛され続けている理由は何だと思いますか?
作品が持っている“愛”だと思います。観終わった時にとても幸せな気持ちになれるのが、この作品の大きな魅力。家族の愛や絆が、楽曲やセリフ、ダンスに散りばめられているし、他とは違う異色の華やかさがあると思います。市村さん演じるザザが女性よりも女性らしい愛を表現していたり、いろいろな愛が存在していたり。そういうところが僕自身はおもしろいと感じました。
──ジャン・ミッシェルという役について、どんな印象を持ちましたか?
まだ台本をいただいていないので、作品を観たうえでの印象になりますが、本当に素直に育ってきた青年だなと。ただ、ジャン・ミッシェルは自分が思っている「普通」と、同じ年代の友達の「普通」とは違うと感じていると思います。親はジョルジュとザザ(アルバン)という男性同士の夫婦で、血のつながりはなくても愛情深く育ててくれたのがザザ。その異色の愛に、何か引っかかっているというか。僕自身も、周りと自分を比べてしまう時期がありました。そんな昔の自分とリンクさせながら、役づくりをしていきたいですね。
── 鹿賀丈史さんと市村正親さんは、内海さんにとってどんな役者ですか?
鹿賀さんのミュージカルは『生きる』を、市村さんは『モーツァルト』や『オリバー』を観劇したことがあります。お二人とも立っているだけで役の歴史がにじみ出ているのがすごい!セリフを言わなくても、歌わなくても、その役が生きてきた年輪を感じる。勉強させていただくことばかりです。これまでたくさんの素敵な先輩方と共演させていただいて感じるのは、舞台の上ではもちろん、稽古場での立ち居振る舞いや役に対する姿勢が本当にかっこいいということ。かっこつけるという意味ではなく。今回も、鹿賀さんや市村さんをはじめ、皆さんから多くのことを吸収したいです。緊張していますが、若さとガッツで頑張ります!
── ほかに気になる共演者はいますか?
メインキャストの方は皆さん初共演なので、全員です!『ラ・カージュ・オ・フォール』初演から出演されている森公美子さんに、いろいろな話を聞いてみたいですね。初参戦の僕がどんなに台本を読み込んで作品を理解しても、ダンドン婦人には勝てませんから。アンヌ役の小南満佑子さんとは公演のチラシの撮影でお会いしましたが、その時はほとんど首の角度(ポーズ)の話で終わりました(笑)。稽古場で、恋人という関係性をしっかり作り上げていきたいと思います。
── 内海さんのミュージカル愛についてと、どんな役者になりたいかを教えてください
実は、こんなにミュージカルが好きになるとは思っていなかったんです。この世界で生きていきたいと思ったのはここ3、4年くらい。もともと歌は好きで、20歳くらいから路上ライブなどをしていました。歌で何かを表現したいと思っていたし、お芝居も好きだったので、ミュージカルに出演した時にこんなに楽しい世界があるのかと思いました。そして、東急シアターオーブで『キンキーブーツ』を観た時、華やかでメッセージ性の強いエンターテインメントに衝撃を受けて。僕も役者としてミュージカルの力、心に明るい光を灯してくれるものをお客様に届けたいと思うようになりました。ミュージカルにしかない華やかさ、生で感じるビート、心がふるえる感じ…観劇したことがある人ならわかると思いますが、ゾワッとする感覚。それを生み出せる役者になりたいです。
── コロナ禍の中での作品づくりを経験して、何か変化はありましたか?
自己管理への意識がとても高くなりました。自分が罹患したら、みんなの仕事がなくなってしまう。だから常に緊張感を持っています。劇場ではお客様もマスクや手指消毒を徹底してくださるので、舞台上だけでなく全員で作品をつくっているという思いも強くなりました。お客様も、笑いたい、声を出したいけど我慢をしてくださっていることがきっとあると思います。でも、マスクなどいろいろ制限がある中でも、お客様の反応は結構伝わってきますよ!
── 最後に、公演を楽しみにされているお客様にメッセージをお願いします
異色の夫婦愛や家族愛をテーマにしたハッピーエンドのストーリーなので、心から楽しんでいただけると思います。輝かしい歴史のある作品ですし、この作品を愛している方がたくさんいらっしゃるので、僕もこれから作品をもっともっと愛して、先輩方の胸を借りて頑張っていきます。劇場でお待ちしています!