Introductionイントロダクション

竹中直人と生瀬勝久、ふたりの
強烈な個性がぶつかり合う!
演劇ユニット「竹生企画」が
7年振りに再始動

生瀬勝久の「竹中直人さんと二人芝居がやりたい!」という熱い思いから始まった「竹生企画」。人気劇作家・倉持裕を劇作・演出に迎えて2011年に第一弾を上演、その後、第二弾、第三弾を発表し、2025年、7年振りの第四弾公演を下北沢・本多劇場で上演します。
飯豊まりえ、戸塚純貴、サリngROCK、松浦りょう、浜野謙太を迎えての『マイクロバスと安定』は「3年後に地球が滅亡する」世界で、もがき続ける人々を描きます。

Storyストーリー

「終わり」がちらつく世界で
人々はどう生きるのか…

地球に小惑星が衝突するまであと3年――。世界の滅亡を知らされた人々はどう生きるのか。

これまでしてこなかったことをしようとする人々、今までと変わらずに生きようとする人々。それぞれ別のブロックに別れて暮らす中、後者にフォーカスして、ストーリーは進んでいきます。

『マイクロバスと安定』、このタイトルが意味することとは…?

Interviewインタビュー

7年振りに演劇ユニット「竹生企画」を再始動し、新たな舞台を作り上げる、竹中直人さんと生瀬勝久さん。恐るべき個性を放つ俳優おふたりに、今回の舞台への意気込みや見どころをお伺いしました。
竹中直人さん、生瀬勝久さん
(左から)竹中直人さん、生瀬勝久さん

直談判から10数年、4回目の「竹生企画」ができることに

―― 7年振りに「竹生企画」が再始動となりましたが、きっかけや今のお気持ちをお伺いできますか?

生瀬 2011年に始めて以来、大体3・4年おきに上演していたんですが、コロナがあったことで、今回の第四弾は7年振りです。やろうかという話が出たのは、コロナが収束し始めた2年くらい前かな。竹中さんと倉持さんと3人で集まって、どんなゲストでどんなお話にしようかと話し始めて、本当に今年できることになりました。
私が「竹中さんと二人芝居をやりたい」って直談判したのがもう10数年前なんですよね。そのときに竹中さんに「生瀬くんとの二人芝居は嫌だ」と断られたんですが、「他の役者も出るんだったらやってもいいよ」と言ってもらって。竹中さんが仲のいい劇作家の倉持さんをお迎えして始めることになりました。

竹中 経緯は生瀬くんが話してくれた通りです。しかし…僕が倉持さんと舞台をやるのは「竹生企画」が初めてなのです。ある時の事…気ままな気持ちで倉持さんの作品を初めて観ました。その時、ぼくは倉持さんの描く世界にとても惹かれてしまいました。どこに惹かれたのか…。それはぼくの心に閉まってあるので言う事は出来ませんが、せっかく生瀬くんと舞台をやるなら絶対に倉持さんに書いて頂きたい!と思った次第なんでぇございます。

生瀬 そうなんですね、元々知り合いなのかと思ってました。

竹中 竹生企画の第三弾『火星の二人』からもう7年経っているなんて思いもせなんだ。そんなに時間が空いたと言う感覚がないですね。人生はあっと言う間…。コロナ禍の中で、僕の参加した舞台や映画は中止や延期にならなかったのです。マスクをしながらの稽古は全く稽古になりませんでした。マスクがまるで下着のような不思議な体験をしつつあっという間に7年が過ぎてしまった感じです。そして今!再び「竹生企画」をやる時が来たのは本当に嬉しいことなんでぇございます。生瀬くんと倉持さんと3人、そしてまた新たなゲストを迎えて、とんでもない舞台ができるに違いないと今から心がワクワクしています。東京・下北沢の本多劇場で11月8日から30日まで下北沢本多劇場で上演して、その後は地方公演、どんな風に舞台が変化していくのかとっても楽しみです!

見どころは何といっても役者たちの“顔”

竹中直人さん、生瀬勝久さん
―― 「3年後に地球が滅亡する」という少し重いシチュエーションですが、本作品の見どころはどんなところでしょうか。

生瀬 竹中さん、倉持さん、僕の3人は固定なんですけれども、毎回いろいろな方がゲストで出演してくださるところは「竹生企画」の見どころのひとつですよね。「竹生企画」に出ると売れるってジンクスもあるみたいで。僕たちにキャストを見る目があるってことなんでしょうけども(笑)。でも、竹中さんと僕がいる舞台に出るのって、結構な勇気がいるし緊張されると思うんですよ。僕たちは演劇に対して真摯なだけで、怖くも厳しくもないんだけど。きっと「竹生企画」が、お芝居の楽しさや醍醐味を味わえる場になっているんじゃないかと。

竹中 今回の『マイクロバスと安定』は日常的な芝居だと倉持さんから聞きました。しかし、なんと地球が間違いなく3年後に滅亡!!それを分かっていながら今まで通り生きようとする人たちを倉持さんがどんな風に描いて行くのか…!とてつもない緊張感があるのではないでしょうか…。ところが!倉持さんが言うにはコメディとの事…。シリアスとコメディ、そのバランスをいかに自分が舞台の上で生瀬くんと恥じらいを捨て作り上げていけるのか?!そして、この作品に参加を決めてくださったこの顔ぶれ!【顔ぶれ】、改めて口にすると変な言葉ですね。しかし、よくこんな独特の面構えのキャストが揃ったなと思います。役者一人一人が持つ“顔”がなんとも言えない見どころとなるでしょうね。【見どころ】、改めて口にすると変な言葉です。

―― 今回の作品のテーマやストーリーはどのように決まっていったのでしょうか。

生瀬 すべては倉持さんですが、2年前に企画が立ち上がって顔合わせをしたときに、それぞれアイデアや要望を出しました。僕からは「行きの分の燃料しかない宇宙船」という設定を雑談の中で話した覚えがあります。

竹中 僕からはとにかく生瀬くんと僕が、小さなことでずっと口喧嘩をしているようなシーンがあるといいなみたいな事は言ったと思います。

生瀬 第三弾までも大体は喧嘩してますけどね(笑)。でも、今回はもっともっと根が深い感じがしますね。にしても、倉持さんの作品は、人間関係とシチュエーションがかけ離れすぎてるんですよ。これは過去の3作品にもいえることですが、あれとそれを一緒にやろうなんてどうして思いつくんだろうかと。ご本人はとっても穏やかで常識のある方なのに。まあ、そのへんは深堀りしないでおこうかなと思ってますけれども(笑)。

竹中 僕は舞台の稽古がとても好きなんでぇございます。倉持さんと生瀬くんとゲストの方ガタガタと繰り返し繰り返し稽古しながら作っていくのが本当に楽しいんです。でもそれは決して答えを見つけていく稽古ではありません。自分の感情や言葉のリズム、スピード感、あらゆる何かを研ぎ澄ましてゆくのが稽古だと思うのです。繰り返し繰り返し稽古してうちに何かが身体の中に入ってくるその何かは決して答えではなく言葉にはならない何かなんですね。舞台は本番が始まっても稽古が続いています。観客のエネルギーによって舞台も変化する。苦しいですね。舞台を楽しいと思った事は一度もありませんね。

この世に絶対はないから「3年後に滅亡する」を信じない

竹中直人さん、生瀬勝久さん
―― テーマが「3年後に地球が滅亡する」というものですが、もしもご自身がその状況になった場合はどうなると思いますか?

生瀬 いつものままですね。この世に絶対はないと思っているので、まず3年後に地球が滅亡するってことを信じません。逆に日常がずっと続くとも思ってもいないし。それは今の現実の日常でもそうですよね。

竹中 僕はどうなってしまうんだろうなあ。感情がむき出しになっちゃいそうですね。小さな小箱に向かって叫んでみたり。とんでもないことをしそうです。大きな画鋲を薬指に刺してみたりね。自分が想像できないです。怖いです。

―― 先ほど、竹中さんが旅公演が楽しみとおっしゃっていましたが、今回の公演は、東京・下北沢の本多劇場からスタートして、兵庫や広島、岩手、青森など全国各地を回られますが、楽しみな場所はありますか?

生瀬 兵庫は僕の地元でね、以前、別の舞台で行ったときに「竹中さんとまた舞台やるんで、ぜひ」って売り込んだんですよ(笑)。

竹中 地元なんですね!凱旋公演だ!のろしが上がるね!いままでもいろいろ行ったけど、青森は初めてだよね?岩手には、第二弾目の『ブロッケンの妖怪』ときに行きましたね。広い広い高原でみんなで弓を射たりしたね。大きな牧場に行って搾りたての生の牛乳をごっくん、ごっくん飲んでとても楽しかった。

―― 「竹生企画」も今回で4回目になりますが、その間におふたりの関係性は変わってきましたか?

生瀬 僕にとって竹中さんは憧れの人だし、大ファンでもあったけれど、その分怖いなという思いが最初はありました。共演したこともなかったので、竹中さんがどうやってお芝居を作っていくかのかも知らなかったし。竹中さんはお笑いとかもやっていたので、どこかふざけた方なのかなと思っていたら、全然そうじゃないんですよ。こんなに真面目な人がいるんだってくらいに。そしてシャイだし、本当にお芝居の稽古が好きだし、演劇への思いがとても強い方です。そういう方と長くご一緒できて本当に光栄ですね。最近は、こっちから勝手に近づいていって、“おじさん”だの“じじい”だの言っちゃってますが、それも許していただけてるのかなと(笑)。

竹中 4回も続けられるってことは、やはり相性がよかったのかな。だからといって全く仲良しじゃないしね。

生瀬 そうですね。前回から7年空いたけれど、その間に連絡したのって2回ぐらいじゃないですか。

竹中 普段は全く会わないしね。旅公演になれば一緒にご飯食べに行ったりはするけれど普段はそんな事いっさいないもんね。舞台をやる時だけぎゅっと集まって、終わったらまるで他人。ちょうどいいバランスじゃないかしら。

生瀬 「竹生企画」は1回で終わっちゃうかなと思ってたんですけど、竹中さんが続けてやってくれたので、4回目を迎えられました。竹中さんももう69歳なのでね(笑)。実はもう次の約束もしてくれましたので、五弾、六弾と続けて行けたら、僕はそれだけで幸せです。

―― 最後に竹生企画の第四弾『マイクロバスと安定』をご覧になる方にメッセージをお願いします。

生瀬 今までにも三作上演してきましたが、これまでの作品を楽しめた方にとってはものすごく楽しい作品です。まだ「竹生企画」を未体験の方もお待ちしておりますので、ぜひ“演劇”というものに触れていただけたら嬉しいなと思ってます。

竹中 第四弾まで続けられたという事は本当に皆様方のおかげと感謝しております。先ほども申しましたが、出演者たちのどくとくな顔、顔、顔を見つめていると、想像を超えたとんでもないお芝居になるに違いないと思わざるを得ません。いっしょうけんめいにがんばりますので楽しみにしていてくださいね!劇場でお待ちしています。よろしくお願い致します!

(取材・文/幸山梨奈)
(撮影/中村麻子)

Cast&Staffキャスト&スタッフ

【出演】

竹中直人 生瀬勝久

飯豊まりえ 戸塚純貴

サリngROCK 松浦りょう 浜野謙太

【作・演出】
倉持 裕

Information公演情報

公演名
竹生企画第四弾『マイクロバスと安定』
会場
【東京】本多劇場
上演日
2025年11月8日(土)~11月30日(日)
料金
全席指定:8,800円→《ご優待価格》全席指定:8,500円