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スーパー歌舞伎
『もののけ姫』

イントロダクション

スタジオジブリの名作「もののけ姫」が
伝統と革新を融合させたスーパー歌舞伎に!

日本の演劇界に新たなジャンルを確立した、1986年のスーパー歌舞伎『ヤマトタケル』。その初演から40周年を迎える今年、待望の新作が誕生!

映画公開から四半世紀を超えてなお愛される、スタジオジブリの不朽の名作「もののけ姫」が、壮大なスペクタルとダイナミックな演出で魅了するスーパー歌舞伎として、新たな輝きを放ちます。呪いをかけられた少年・アシタカを市川團子、山犬に育てられた少女・サンを中村壱太郎と、次世代を担う若き二人が勤めます。さらに、タタラ場のリーダー・エボシ御前に中村時蔵、猪神一族の最長老・乙事主に市川中車が決定。スーパー歌舞伎を彩る熱い競演に期待が高まります。

配役

出演者の顔写真

【出演】

アシタカ/シシ神
市川 團子

サン
中村 壱太郎

エボシ御前
中村 時蔵

ジコ坊
市川 猿弥

モロの君
市川 笑三郎

甲六
市川 青虎

猩々
市川 寿猿

ヒイさま/トキ
市川 笑也

ゴンザ
市川 門之助

乙事主
市川 中車

【原作】
宮﨑 駿

【オリジナル音楽】
久石 譲

【脚本】
丹羽圭子、戸部和久

【演出】
横内謙介

【協力】
スタジオジブリ

インタビュー

アシタカとサン、タタラ場に生きる人々と森に棲む神々、それぞれの運命が絡み合い、人間と自然の壮絶な衝突と共生への願いを描いた「もののけ姫」。スーパー歌舞伎として新たな歴史を刻む今作で、アシタカを演じる市川團子さんにインタビュー。祖父にあたる二世市川猿翁(三世市川猿之助)が始めたスーパー歌舞伎への思い、「もののけ姫」という作品や音楽の魅力、新作に挑む意気込みなどをお聞きしました。
市川團子さん
市川團子さん

不安とワクワクが入り混じるけれど、とにかく懸命に取り組みたい

―― スーパー歌舞伎の新作として「もののけ姫」が上演されることを聞いた時、またアシタカ役に決まった時にお気持ちをお聞かせください。

「もののけ姫」は国内外で人気の作品であり、僕自身は子供の頃に金曜ロードショーやDVDで見ていました。身に余る大役をいただいたというのが率直な気持ちです。祖父が始め、生涯大切にしてきた「スーパー歌舞伎」に、祖父がいない中で新作として挑ませていただくのは、正直に言うと不安もあります。しかし、とにかくいい舞台にしたいという想いで、自分に出来ることは全て出し尽くしたいと思っています。

―― 子供の頃から「もののけ姫」がお好きだったのでしょうか。

宮﨑駿さんが「これまでのジブリとは違う作品にしたい」と思って作られたものなので、子供の頃は、少し難しいところもある作品だと感じていたと思います。元々、「もののけ姫」の音楽が好きで、今回あらためて見返してみて、小中学生の頃にはわからなかったことに気づいたり、今の自分にとって新しいと感じる発見がかなり多くあり、この作品のおもしろさ、深みを感じました。

スーパー歌舞伎と「もののけ姫」は、相性がいい

―― 「スーパー歌舞伎」と「もののけ姫」という掛け合わせを、どのように捉えていらっしゃいますか。

まず、歌舞伎というものはデフォルメ、様式美の演劇なんです。それが特色のひとつだと思うのですが、「もののけ姫」のような壮大な世界観の作品に向いているんですよね。スーパー歌舞伎は、歌舞伎の魅力を現代の人にわかりやすく伝えたいという思いで祖父が始めたものですので、歌舞伎を観たことのない方にも「デフォルメ、様式美の魅力」が伝わりやすいと思います。また、これまでのスーパー歌舞伎の作品には、必ず明確なテーマが設定されており、そのテーマを象徴する言葉も決められています。「もののけ姫」にもはっきりとしたテーマがありますので、そういった意味で互換性があると思うんです。
多くの情報があふれる今の世の中で、「もののけ姫」は自分の軸を問い直される作品だと思います。「もののけ姫」の魅力と歌舞伎の魅力が相乗効果となり、双方の良さが皆様に伝わる舞台になったら良いなと思っております

―― 自分の軸を問い直される、というのは?

アシタカ、サン、エボシ御前、三者三様の正義があって、それぞれが別に他人を傷つけたいわけでなく、自分の正義を貫いた時にすれ違いが生まれるということです。勧善懲悪の話ではまったくないので、作品を観たお客様がそれぞれに、「正しさとは何だろう」と考えるきっかけになるのではないでしょうか

―― アシタカという役の魅力や、作品における立ち位置はどのように考えていますか。

アシタカという人物について、僕はバタフライエフェクトを起こすような人物だと思っているんです。シシ神様が最後にすべてを破壊して再生する、再生といっても元の森の形ではなく傷が残った形での再生ですけど、その運命はどう足掻いても変わらなかったと思います。ただその過程で、アシタカが「両者を守る選択はないのか」「共生の道はないのか」ということに全力で挑み続けたこと、奔走したという事実が大切だと思っています。その姿が人々の心に残り、何十年、何百年単位で見た時に、アシタカの行動ひとつひとつが、実は未来において絶大な影響を持っているんじゃないかなと。

希望や感動を抱かせる音楽は、僕自身も非常に楽しみなことのひとつです

―― やはりスタジオジブリ作品というと久石譲さんの音楽も大きな魅力だと思います。久石さんの音楽について、何か思われることは?

とにかく久石さんの音楽が大好きです。ジブリ作品は毎回音楽が素敵ですよね。「もののけ姫」も、ストーリーやテーマに感動した上で、絵の素晴らしさや音楽の素晴らしさが感動を占める割合も非常に高い作品だと思っています。
デモアルバムを聴いたことがあるのですが、完成した「もののけ姫」の音楽の形ではなくて、メロディは一緒でも使われている楽器が違ったりするんです。それを元に宮﨑さんや久石さんがこだわって作り上げたと思うので、その突き詰める姿勢もすごいことだと思います。聴いた瞬間に、太古の森の情景、映画に出てくる森のあの雄大さ、そして運命に立ち向かう勇気と孤独さが、バッと脳内に広がる感じがする。そういう音楽はなかなかないと思います。完成度の高い音楽で、アシタカもその音楽に背中を押されているような、希望をもらえる音楽だと思います。

―― 「もののけ姫」の世界観を作る衣裳や美術も含め、すごく楽しみな作品です。團子さんご自身が楽しみにされていることや、意識していらっしゃることはありますか。

「もののけ姫」の曲をいい音質で聞ける環境としては、これまでは自宅のBluetoothのスピーカーか、4Kリマスターの時の映画館でした。それが今回のスーパー歌舞伎では、毎日劇場の素晴らしい音響で聴けるというのが楽しみでなりません。
とても大切なことが、スーパー歌舞伎の作品であるということです。これまで上演されたスーパー歌舞伎『ヤマトタケル』や『新・三国志』は、元の作品が古典であり、かなり前のものですから、お客様の中にそこまで共通のイメージがあるわけではなく、脚色がわりと自由だったと思います。でも「もののけ姫」に関しては、皆様の心の中に原作がばっちり残っている中で歌舞伎にするわけです。そういう意味では変換が難しいところだと思いますし、同時に、いい化学反応を起こすチャンスでもあるはず。どういう風に落とし込むのか、原作と歌舞伎の塩梅というところに一番注目していますし、演出の横内さんが導いてくださる中で、自分自身も考えを巡らせたいですね。

―― 「もののけ姫」のモデルとなったと言われる屋久島に足を運ばれたそうですね。そこでどんなことを感じられたのか教えてください。

ガイドさんにいろいろ案内していただきながら、山の中で一泊してきました。例えば、モロが「黙れ小僧」というシーンがあるじゃないですか。おそらくその舞台であろう「太鼓岩」という岩場に行きました。ガイドさんが「こんなに景色が先まで見えることはありません」とおっしゃるくらい、とんでもない快晴で景色がよかったんです。それも本当にありがたかったですし、そういう実際に見た記憶というのは、舞台において非常に大事です。
僕の高祖父(初世市川猿翁)が祖父に対して「いいものを見なさい」とよく言っていたそうです。本物の景色を見て感動した心があれば、舞台上に実際の景色が無くても、同じ目や気持ちになることができる。だから「たくさん感動しなさい」という教えです。実際に屋久島で、太鼓岩の頂上から下を見た時の高さ、ずっと奥まで道が続いている感じ…そういう記憶が、舞台の上でも活かせるように努めたいと思っています。

(取材・文/井上菜々子)

公演情報

公演名
スーパー歌舞伎『もののけ姫』
会場
【東京】新橋演舞場
上演日
2026年7月3日(金)~8月23日(日)
料金
一等席:17,000円→《ご優待価格で好評販売中》