ストーリー
季節は、夏。
舞台は「今」と「昔」が入り乱れる暗黒の街・ヴェローナ。
魅惑的な肉体と繊細な心を持った、モンタギュー家の跡取りであるロミオ。
シンガーソングライターを目指す、才能あふれたキャピュレット家の一人娘ジュリエット。
キャピュレット家の所有する『CLUB VERONA』で運命的な出会いを果たした二人は、一目で恋に落ちる。
しかし、一代で財を成したモンタギュー家と伝統を重んじる上流階級のキャピュレット家は、街の権力をめぐって激しい対立を続け、両家の根深い確執はロミオとジュリエットの物語をも次第に悲劇へと導いていく。
また、彼らを取り巻く若者たちは友情と忠誠の狭間で葛藤を抱えていた。
一途に愛し合う二人に向ける強い眼差しの意味は、嫉妬か希望か。
そして周囲の大人たちの思惑は、若者たちをどのような結末に導くのか…。
新しい時代を切り開く「恋」が今、幕を開ける。
インタビュー
俳優 長谷川慎さん
THE RAMPAGEのパフォーマー長谷川慎がロミオ役、北乃きいがジュリエット役を演じる舞台『ロミオ&ジュリエット』が1月28日よりBunkamuraシアターコクーンでスタートする。イギリス出身のアレクサンドラ・ラターが演出を務め、演劇界注目のフレッシュなキャストが顔を揃える本作は、芝居とダンスを融合させた芸術性豊かな物語。ロミオ役を務める長谷川慎にシェイクスピア劇に挑む気持ちや2023年の展望を聞いた。
新たな『ロミオ&ジュリエット』が2023年に誕生。
長谷川慎&北乃きいが魅せる永遠のラブストーリー。
──ロミオ役を演じる今の心境をお聞かせください。
今回、お話を頂いてまさか自分がロミオを演じる日がくるなんて思ってもいなかったので素直にびっくりしました。歴史が深い作品だからこそ、看板を汚しちゃいけないというか、いろいろなものを背負って演じなきゃいけないプレッシャーを感じています。
──今回の『ロミオ&ジュリエット』はどのような作品になりますか?
僕らでしかできない作品になっていると思います。まだ稽古がはじまったばかりですが、ジュリエットとのエモーショナルなダンスシーンがあったりして、まったく新しい『ロミオ&ジュリエット』になると思います。
──今回の演出は舞台『Princess MONONOKE ~もののけ姫~ 』などの演出で知られるアレクサンドラ・ラターさんです。
アレックス(アレクサンドラ)さんの台本は英語と日本語で書かれているのですが、例えばセリフ1行だとしても、そこからどんどんストーリーを広げて面白い構成になっていくんですよね。動きにしても、喋りながら何かをするというのがアレックスさんのスタンス。しかもダンスとかいろいろな動きがどんどん追加されていく。
──かなり動きのある『ロミオ&ジュリエット』になりそうですね。長谷川さんはロミオをどんな人物と捉えていますか?
ロミオはもともと別の娘が好きだったのに、ジュリエットに会った瞬間に恋に落ちます。いい意味で周りが見えなくなっちゃう真っ直ぐな性格がいいところだと思います。
──まさに一目惚れですよね。
読み解いていくなかで、ロミオはただジュリエットを外見で好きになったわけじゃなくて、まあ、もちろん外見も好きでしょうけど(笑)、ジュリエットの内面的な部分にも惹かれていると思いました。ジュリエットが使う言葉だったり、考え方だったり。中身までちゃんと好きになっているところが素敵な男だなと思います。
──ご自身とロミオで似ている部分はありますか?
それこそ好きになったら一途という部分では似ていると思います。僕は小3くらいにダンスに出会って、そこからずっとダンスを好きで続けてきて、今、こうして仕事をやらせて貰っている。一目惚れで一途な部分ですね。
──北乃きいさんのジュリエット役はいかがですか?
ジュリエットは魅力的な女性ですよね。ひとつひとつの言葉が繊細だし、綺麗な言葉遣いで魅力が詰まっている。ロミオ役として接していますけど、役を通り越してジュリエットのセリフが入ってくる感じがあります。長谷川慎としてキュンとくるような感じがあるというか……。そういうセリフを北乃さんからたくさん言って貰えるので、凄い贅沢な経験をさせて貰っているなと噛み締めていますね。
──シェイクスピアのセリフが何百年経っても私たちの心を掴む所以ですね。お好きなセリフや気になったセリフはありますか?
たくさんあります。稽古をしていて思ったのはジュリエットが「手がすることを唇にも」ってセリフを言うんですけど、手でキスを表現するって素敵だなあって。それを読み解くと、当時は手は卑しいものであまり綺麗じゃないという認識があるんです。それを口で癒やすためのセリフという……。そういったことを知りながらセリフを言うのが今は楽しいですね。
──見せ場でもあるバルコニーシーンはどんなものになりそうですか?
まだ一回しか稽古で合わせていないですけど、ジュリエットが「朝になるまでおやすみを言い続けたい」って言うんですよ。「おやすみ」ってたった4文字だけど『ロミオ&ジュリエット』の世界だと、3~4行の文章でおやすみを伝える。こういうセリフがたくさんある。まだ具体的にはどんなものになるかは言えませんけど、そのシーンを演じている自分を想像するだけでワクワクします。
──モンタギュー家の仲間たちとの関係はいかがですか? 特にベンヴォーリオ役の石川凌雅さんやマキューシオ役の京典和玖さんとは深い絆で結ばれていると思います。
アレックスさん曰くの“モンタギューボーイズ”ですね(笑)。ちょうど今日、彼らがたまり場で遊んでいるシーンの稽古をしたんですけど一気に仲が深まった気がしています。わちゃわちゃしたり、冗談を言い合ったり。ふざけあえる関係値を築けたかなと。
──長谷川さんはTHE RAMPAGEでの活動があるので、仲間同士でつるんでいるのが想像しやすいです。グループにいるときに大切にしていることは?
そうですね。RAMPAGEで活動しているときは常に繋がっている感覚があります。例えば16人で音楽番組に出るときとか、16人でひとつの塊っていうのをみんなが意識している。“群れ”というか、ちゃんと自分たちのスタイルを理解して動くことを大切にしています。なので、誰に何を聞いても同じようなことを言うんじゃないですかね。
──チームとしての意識が統一されているからこそのグループなんですね。モンタギュー家の仲間たちにも通じるところはあると思われますか?
仲間感みたいなものはあると思います。今日もシェイクハンドの挨拶みたいなのをやったんですけど、それもしっくりきました。そこはRAMPAGEのグループ感とロミジュリの世界観がリンクしているなと思いました。
──『ロミオ&ジュリエット』への意気込みを聞かせてください。
まず、今回の『ロミオ&ジュリエット』を通して、アーティストとして僕を観ていた人たちに“こんなお芝居ができるんだ”って見せつけたいですし、逆に僕を知らない方が“この子はRAMPAGEってグループもやっているんだ”って思う入り口になって欲しいなという思います。
──2023年もはじまりました。長谷川さんの今年の抱負は?
役者・長谷川慎としては、『ロミオ&ジュリエット』で可能性を広げて、また舞台だったり映画だったりに声をかけて貰えるようになりたいと思っているのと、グループとしては“原点回帰”というテーマを掲げているので、もう一回、初心に戻ってグループとして、個人として何をするべきか考えながら世界に向けて飛躍できる年にしたいですね。
──ありがとうございました。
(インタビュー・文:高畠正人)